熱中症対策として取る休憩時間の目安は?決める基準や他の暑さ対策も紹介
法改正によって熱中症の重篤化防止のための対策が義務化され、予防への取り組みもより重要となっています。
この記事では工場の環境や作業内容に適した休憩時間の決め方と、熱中症リスクを低減する熱中症対策について解説します。
従業員の安全と工場の生産性を維持するための参考としてください。
熱中症対策として取るべき休憩時間の目安
厚生労働省が提供する資料には、熱中症の対策として確保が推奨される休憩時間の目安が示されています。
この目安は一律に「何分」と決まっているわけではなく、作業場の「WBGT基準値」によって異なります。
熱中症対策を講じていない環境で作業を行う場合に、確保した方がよい1時間当たりの休憩時間の目安は以下のとおりです。
・WBGT基準値から1度程度超過すると、15分以上の休憩時間
・WBGT基準値から2度程度超過すると、30分以上の休憩時間
・WBGT基準値から3度程度超過すると、45分以上の休憩時間
・これ以上の超過は作業の中止が望ましい
暑い環境で連続して作業を行うと熱中症リスクが高まるため、この目安を参考に休憩することが重要です。
他にも、休憩時に水分や塩分の補給、身体の冷却を呼び掛け熱中症のリスクを低減しましょう。
▼関連サイト
厚生労働省|働く人の今すぐ使える熱中症ガイド
熱中症対策として取るべき休憩時間を決める指標
このWBGT基準値は次の4つの指標により決定されます。
・暑さ指数(WBGT値)
・暑熱順化の有無
・代謝率レベル
・服装による影響
それぞれの指標について詳しく見ていきましょう。
暑さ指数(WBGT値)
暑さ指数(WBGT値)とは「気温」、「湿度」、「日射・輻射などの熱環境」の3つを取り入れた指標です。
WBGT基準値の数値は気温ではなくこの「暑さ指数」となる点に注意が必要です。
この値は規格に適合した測定器を使用したり、環境省のサイトで発表されている実況値を確認したりして把握します。
屋内と屋外では測定方法が異なるため、作業場所に合った測定を行いましょう。
WBGT基準値の数値は気温ではなくこの「暑さ指数」となる点に注意が必要です。
この値は規格に適合した測定器を使用したり、環境省のサイトで発表されている実況値を確認したりして把握します。
屋内と屋外では測定方法が異なるため、作業場所に合った測定を行いましょう。
暑熱順化の有無
暑熱順化とは、暑い環境に徐々に体が慣れていくことです。
休憩時間の目安となるWBGT基準値は、作業者が暑熱順化しているか・していないかによって異なります。
これは、暑熱順化により早く汗が出るようになり体温の上昇を抑える効果をもたらすためです。
暑熱順化には数日から2週間程度の期間が必要です。
ただし、数日間でも暑い作業から離れると暑熱順化の効果が失われてしまいます。
そのため入職したての人やお盆休みなどの長期休暇明けの人は、他の従業員よりも休憩時間を多く確保したり、作業時間を短く設定したりするといった特別な配慮が必要です。
暑熱順化を促すために、暑くなる前から運動や入浴で汗をかく準備をしておくことが重要です。
休憩時間の目安となるWBGT基準値は、作業者が暑熱順化しているか・していないかによって異なります。
これは、暑熱順化により早く汗が出るようになり体温の上昇を抑える効果をもたらすためです。
暑熱順化には数日から2週間程度の期間が必要です。
ただし、数日間でも暑い作業から離れると暑熱順化の効果が失われてしまいます。
そのため入職したての人やお盆休みなどの長期休暇明けの人は、他の従業員よりも休憩時間を多く確保したり、作業時間を短く設定したりするといった特別な配慮が必要です。
暑熱順化を促すために、暑くなる前から運動や入浴で汗をかく準備をしておくことが重要です。
代謝率レベル
代謝率レベルは作業負荷の強さを示す指標です。
以下の4つに分類され、それぞれ基準となるWBGT基準値が異なります。
・低代謝率:タイピングや乗り物の運転などの作業
・中程度代謝率:くぎ打ちや草むしりといった作業
・高代謝率:コンクリートブロック積みや重量物の運搬といった作業
・極高代謝率:全力疾走や激しいシャベル作業などの作業
代謝率レベルが高い作業ほど体内で多くの熱が作られるため、WBGT基準値が低くても熱中症のリスクが高まります。
例えば暑さに慣れている人の場合、WBGT基準値は「低代謝率」なら30度ですが、「極高代謝率」では25度まで下がります。
正しい休憩時間を管理するためには、まず自社の作業がどの代謝率に該当するかを把握することが重要です。
▼関連サイト
厚生労働省|職場のあんぜんサイト
以下の4つに分類され、それぞれ基準となるWBGT基準値が異なります。
・低代謝率:タイピングや乗り物の運転などの作業
・中程度代謝率:くぎ打ちや草むしりといった作業
・高代謝率:コンクリートブロック積みや重量物の運搬といった作業
・極高代謝率:全力疾走や激しいシャベル作業などの作業
代謝率レベルが高い作業ほど体内で多くの熱が作られるため、WBGT基準値が低くても熱中症のリスクが高まります。
例えば暑さに慣れている人の場合、WBGT基準値は「低代謝率」なら30度ですが、「極高代謝率」では25度まで下がります。
正しい休憩時間を管理するためには、まず自社の作業がどの代謝率に該当するかを把握することが重要です。
▼関連サイト
厚生労働省|職場のあんぜんサイト
服装による影響
作業者の着衣もWBGT基準値に影響します。
通気性の悪い作業着などは汗の蒸発を妨げるため、熱中症リスクが高くなります。
そのため、防護服や厚手のつなぎ作業着を着用している場合は、測定した暑さ指数に補正値を加算してWBGT基準値を評価しなければなりません。
補正のある代表的な着衣は以下のとおりです。
・フードがついた服
・不透湿の素材でつくられた単層のつなぎ服
・ポリエチレンやポリプロピレンなどの不織布でつくられた単層のつなぎ服 など
衛生管理や安全のために着用した防護服が、かえって熱中症のリスクを高めるおそれがあります。
特に湿気を通さない防護服などはWBGT基準値を一気に高めるため注意が必要です。
▼関連サイト
厚生労働省|職場のあんぜんサイト
通気性の悪い作業着などは汗の蒸発を妨げるため、熱中症リスクが高くなります。
そのため、防護服や厚手のつなぎ作業着を着用している場合は、測定した暑さ指数に補正値を加算してWBGT基準値を評価しなければなりません。
補正のある代表的な着衣は以下のとおりです。
・フードがついた服
・不透湿の素材でつくられた単層のつなぎ服
・ポリエチレンやポリプロピレンなどの不織布でつくられた単層のつなぎ服 など
衛生管理や安全のために着用した防護服が、かえって熱中症のリスクを高めるおそれがあります。
特に湿気を通さない防護服などはWBGT基準値を一気に高めるため注意が必要です。
▼関連サイト
厚生労働省|職場のあんぜんサイト
熱中症対策として休憩時間の確保が必要な理由
改正により熱中症で死亡に至らせない(重篤化させない)ための対策が義務化されています。
対象となるのは暑さ指数(WBGT値)が28度以上または気温が31度以上の環境で行い、継続して1時間以上または1日4時間超の実施が見込まれる作業です。
改正された労働安全衛生規則に違反した場合、労働安全衛生法の第119条、及び第122条により、以下の罰則が課せられる恐れがあります。
・違反した者に6か月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金
・法人の場合にも50万円以下の罰金
義務化への対応はもちろん、休憩時間を適切に確保して従業員を熱中症から守ることが重要です。
▼関連サイト
e-Gov法令検索|労働安全衛生法
休憩時間の確保以外に実施できる工場での熱中症対策
ここでは、休憩時間の確保以外に実施できる工場での熱中症対策について紹介します。
遮熱工事や断熱工事を行う
工場内の室温は日光により熱せられた屋根や壁、高温を発する機械からの熱により上昇します。
そのため、工場で暑さ対策を講じるなら、遮熱と断熱が有効です。
・遮熱:太陽や高熱になる機械から放出される熱線を反射する機能
・断熱:モノや空気を介して伝わる熱の移動速度を遅くして、室内への熱の侵入を抑制する機能
遮熱工事や断熱工事によって熱の侵入を防げば、暑さ指数の低減につながります。
工場全体に遮熱・断熱工事を行うことで、熱中症を予防する効果が期待できます。
そのため、工場で暑さ対策を講じるなら、遮熱と断熱が有効です。
・遮熱:太陽や高熱になる機械から放出される熱線を反射する機能
・断熱:モノや空気を介して伝わる熱の移動速度を遅くして、室内への熱の侵入を抑制する機能
遮熱工事や断熱工事によって熱の侵入を防げば、暑さ指数の低減につながります。
工場全体に遮熱・断熱工事を行うことで、熱中症を予防する効果が期待できます。
エアコンやスポットクーラーを導入する
エアコンやスポットクーラーは、冷気の放出によって室温を下げられる設備です。
除湿機能がついている製品であれば、湿度調整も可能です。
導入すれば暑さ指数の改善が見込めます。
効果的な対策ですが、ランニングコストとして電気代が必要となる点がデメリットです。
特に遮熱・断熱対策が不十分な工場では、外部や機械からの熱の影響を受けるため冷房効率が良くない場合があります。
また、夏場の厳しい暑さではエアコンに大きな負荷がかかるため、電気代が収益を圧迫する可能性があります。
除湿機能がついている製品であれば、湿度調整も可能です。
導入すれば暑さ指数の改善が見込めます。
効果的な対策ですが、ランニングコストとして電気代が必要となる点がデメリットです。
特に遮熱・断熱対策が不十分な工場では、外部や機械からの熱の影響を受けるため冷房効率が良くない場合があります。
また、夏場の厳しい暑さではエアコンに大きな負荷がかかるため、電気代が収益を圧迫する可能性があります。
サーキュレーターやシーリングファンを設置する
サーキュレーターやシーリングファンで空気を循環させる方法も有効です。
空調の冷気を必要な作業場に行き渡らせれば、暑さ指数の低減につながります。
ただし、空気の循環だけでは室温を下げる効果は望めないため、遮熱やエアコンといった他の対策の補助として利用するのがおすすめです。
空調の冷気を必要な作業場に行き渡らせれば、暑さ指数の低減につながります。
ただし、空気の循環だけでは室温を下げる効果は望めないため、遮熱やエアコンといった他の対策の補助として利用するのがおすすめです。
工場で実施する熱中症対策なら「遮熱」が効果的
工場に遮熱工事を行えば室温の上昇が抑えられ、暑さ指数の低減効果が期待できます。
暑さ指数が低減できれば、休憩時間の調整もしやすくなります。
暑さによる集中力の低下も抑制でき、工場の生産性の維持につながる対策です。
初期費用こそかかりますが、一度設置すればエアコンの電気代などのランニングコストを減らす効果も期待できます。
遮熱やさん(運営:植田板金店)では、遮熱材「シャネリア」を活用した遮熱工事にも対応しています。
シャネリアの詳細はこちら
熱中症を予防するために休憩時間を確保して対策しよう
暑さ指数を適切に計測し、WBGT基準値に基づいた休憩時間の調整が重要です。
休憩時間の確保以外に遮熱などの対策も熱中症の予防に効果的です。
従業員の安全と工場の生産性を維持するために適切な熱中症対策を行いましょう。
▼関連記事
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