工場勤務中に寒いと言われる理由とは？実施できる寒さ対策を紹介
冬場の工場に勤務している作業員の中には、「寒さがつらい」と感じる人もいるでしょう。
工場内が寒いと手先がかじかんで作業効率が落ちたり、集中力が途切れてミスや事故につながったりするおそれがあります。
寒さ対策をおろそかにしていると、作業員の体調不良や離職にも直結し、生産性や安全性に大きな悪影響を与えかねません。
職場全体の生産性や安全を守るためにも対策が求められます。
本記事では工場勤務中に寒いと言われる原因や実践できる対策について紹介するので、工場の寒さにお悩みの方はぜひ参考にしてください。
冬の工場が寒いと感じられるのは、単に外気温が低いからではありません。
工場という建物の構造や作業環境そのものにも原因があります。
まず大きな理由は、工場が広い空間と高い天井になっていることです。
暖房を入れても暖気は工場内の上部にたまるため、実際に作業する床付近の温度がなかなか上がりません。
加えて、多くの工場で採用されているコンクリートの床も、寒さを助長する大きな要因です。
コンクリートは冷気をため込みやすく作業員の熱を足元から奪ってしまうため、冷えを感じやすくなります。
また、壁や屋根から外部に熱が逃げるのも寒さを感じる理由の一つです。
外気で冷え切った建物の表面に熱を奪われることで、室内の暖かさが逃げてしまいます。
工場勤務中に寒いと感じる職場が作業員や工場に与える影響
工場内の寒さによる影響は、単に働きにくいといった個人的な感覚にとどまりません。
作業員の体調や集中力に影響を与え、工場全体の生産性や安全性にも直結する大きなリスクになる可能性があります。
ここでは、寒いと感じる職場が作業員や工場に与える影響について解説します。
寒さで手や指先が冷えると作業のスピードや精度が落ちるおそれがあります。
ネジを締める、部品を組み立てるといった細かい作業では、思うように手が動かず効率が悪化します。
また、寒さで体がこわばると動きが鈍くなるため、重量物の持ち運びや工場内の移動にも影響を及ぼしかねません。
結果として製品の品質に影響が出る可能性もあります。
寒さによって体温が低下すると風邪や腰痛などの不調が起こりやすくなり、体の冷えによって血流が悪化し、肩こりや関節痛が慢性化する可能性もあります。
さらに、集中力の低下によって機械操作や重機の運転中にミスが増えると、事故やケガにつながるリスクも高まります。
労災事故が発生すると、作業員からの損害賠償請求や行政からの指導など、工場に大きな影響が及びかねません。
寒い環境での勤務が続けば、作業員のモチベーションが下がりやすくなります。
働きづらいと感じる人が増えれば、離職の増加につながるおそれがあります。
職場環境の快適さは、人材を確保し定着させるための要因の一つです。
寒さ対策を怠ると、結果的に採用・教育コストの増加につながります。
工場勤務中に寒いと感じさせないために職場で実施できる対策
工場の寒さは建物の構造や環境に左右される部分が大きく、個人の努力だけでは解決が難しい場合があります。
そこで重要になるのが、職場全体で取り組める作業環境の改善です。
ここでは、工場の寒さを軽減し、作業環境を快適に整えるために有効な対策を紹介します。
工場の寒さを改善するには、暖房効率の向上が見込める遮熱や断熱の工事が効果的です。
遮熱とは、屋根や壁に専用のシートなどを施工し、熱を反射・遮断する対策です。
暖房から放出された遠赤外線などの熱を反射することで、室内に熱をとどめ、暖房効率を高める効果が期待できます。
一方で断熱は、壁や屋根、床に断熱材を充填することで、室内の熱が外へ逃げるスピードを遅らせる仕組みです。
遮熱と断熱を併用することで、工場全体の暖房効率を大幅に改善し、快適な作業環境を維持しやすくなります。
出入口や搬入口から入り込む冷気を防ぐには、ビニールカーテンやエアカーテンで遮断するのが効果的です。
とくにフォークリフトや人の出入りが多い工場では、開閉のたびに冷気が一気に流れ込むため、こうした対策が欠かせません。
外気の侵入を防げれば、暖房効率も向上し、室内の暖かさを保ちやすくなります。
設置コストや工期も比較的抑えやすく、導入後すぐに効果を実感できるのも魅力です。
作業エリアを重点的に暖めたい場合は、スポットヒーターや遠赤外線ヒーターが便利です。
大がかりな工事をせずに設置できるため、手軽に導入できます。
ただし石油ストーブや灯油ファンヒーター、ガスストーブなどを使用する場合は、一酸化炭素中毒を防ぐために定期的に換気をしっかり行いましょう。
多くの工場は天井が高くなっているため、暖気が上部にたまりやすく、作業員がいる床付近まで十分に降りてこないことがよくあります。
この問題を解消するには大型シーリングファンが有効です。
大型シーリングファンは天井付近にこもった暖気をゆっくりと循環させるので、室内の温度を一定に保ちやすくなります。
室温が安定すれば、下で作業する作業員も暖かさを感じやすくなります。
工場のレイアウトや動線が原因で外気が侵入しやすくなっているケースも少なくありません。
出入口の開けっ放しを避ける、搬入経路を工夫する、冷気が直接作業員に当たらない配置にするといった工夫で、寒さの影響を最小限に抑えられます。
工場勤務中に寒いと感じにくくするために作業員が実施できる対策
工場の寒さは建物の構造や設備による影響が多いですが、作業員自身ができる工夫で改善できる部分もあります。
まず効果的なのは、首・手首・足首を温める工夫です。
首・手首・足首は血流が集中しやすいため、ネックウォーマーや手袋、厚手の靴下を取り入れると体感温度が大きく変わります。
また、足元の冷え対策もおすすめです。
断熱インソールや防寒靴を使用するほか、作業エリアにマットを敷くだけでも、コンクリート製の床から体の熱が奪われるのを軽減できます。
ほかにも温かい飲み物を飲んだり、軽くストレッチを行ったりして血流を促せば、体温の維持につながります。
防寒着は着込みすぎを避けて、吸湿速乾インナーや防風性のあるアウターなどを組み合わせて、動きやすい状態にすることが大切です。
工場勤務中に寒いと感じさせないためには暖房効率を向上させる遮熱が効果的
工場の寒さを改善するためには、単に暖房の出力を強くするのではなく暖房効率を上げる工夫が必要です。
その有効な方法が遮熱材の導入です。
遮熱材には、太陽光や暖房から放出される遠赤外線などの輻射熱を反射させて、熱が外へ逃げるのを防ぐ機能があります。
屋根や壁からの熱損失を抑えられるため、暖房効率が高まり、室内の暖かさを保ちやすくなります。
さらに、モノや空気によって伝わる熱の損失を防ぐには断熱材との併用が効果的です。
遮熱と断熱を組み合わせることで、暖房によって工場全体を効率的に暖められるので、寒さの改善が見込めます。
長期的には燃料費や電気代などのコスト削減と生産性アップの両立を実現できる点も大きなメリットです。
▼関連記事
遮熱材と断熱材の違いとは？伝わる熱の種類や具体的な商品についても解説
工場勤務中に寒いと感じさせない快適な作業環境を実現しよう
工場内の寒さは建物の構造や環境による影響が大きく、作業員の努力だけでは解決が難しい問題です。
そのため、防寒インナーや小物といった個人での工夫だけでなく、工場全体での取り組みも欠かせません。
効率よく工場を暖めるには、暖房器具だけに頼るのではなく、遮熱や断熱といった建物自体の性能を高めることがおすすめです。
遮熱や断熱を組み合わせれば、熱の流出を防ぎ暖房効率を高めながら、冬でも快適な作業環境を維持できます。
こうした取り組みを進めることで、作業員の快適性と生産性の両立が可能になり、人材の定着やコスト削減といった効果にもつながります。
工場全体の快適な職場環境づくりのために、寒さ対策を積極的に進めていきましょう。
▼関連記事
工場で働きやすい環境をつくるには？課題とおすすめの解決策を解説工場や倉庫にかかる光熱費を削減するには？節電の方法を紹介
