日本では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを2020年10月に宣言しました。

二酸化炭素（CO2）の排出量が多い工場などの産業部門でも、環境問題への関心の高さからカーボンニュートラルの取り組みが求められています。

本記事では、工場でカーボンニュートラルを目指すための取り組みや事例を紹介します。

おすすめの方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

工場で実施できるカーボンニュートラルへの取り組み

工場で実施できる主なカーボンニュートラルの取り組みは以下の5つです。

・消費電力やCO2の排出量を見える化する
・工場に暑さ対策を実施する
・省エネ設備を導入する
・機械や設備のメンテナンスを定期的に行う
・空調の温度設定や稼働時間を調整する

自社工場の状況を把握したうえで、適した方法を取り入れましょう。

消費電力やCO2の排出量を見える化する

工場でカーボンニュートラルに取り組むには、見える化が重要です。

見える化によって消費電力や二酸化炭素の排出量を把握すれば、自社工場に適した計画を立てられるので、手間やコストのロスを抑えられます。

エネルギー管理システムを活用した事例では、見える化した消費電力量を参考に機器を導入してCO2制御につなげました。

エア漏れを確認できる機械によって見える化した事例や出力削減に成功した事例もあります。

省エネの専門家による診断を受けるのも有効です。

専門家が設備の運転状況や電力消費量をもとにアドバイスを行い、場合によっては伴走支援も受けられます。

省エネ診断を受けたことで課題だったコンプレッサーの稼働を抑制でき、消費電力を削減した事例もあります。

工場に暑さ対策を実施する

遮熱や断熱などの暑さ対策を行うことも、カーボンニュートラルの推進に効果的です。

工場は屋根や外壁が金属製のことも多く、室温が上がりやすい環境にあります。

広い空間で天井が高く、空調も効きづらい構造も工場内が暑くなりやすい要因です。

そのため工場の屋根や外壁に暑さ対策を行うと、冷房効率の向上や空調負荷の軽減が見込めます。

電力消費の削減にもなるため、二酸化炭素の排出量の削減や省エネ化も期待できます。

同時に熱中症対策ができ、従業員にとって安全な作業環境を整えられる点もメリットです。

省エネ設備を導入する

太陽光などを活用できる設備を工場に導入し、省エネにつながった事例を紹介します。

・工場の屋根に太陽光パネルを導入した
・従来の水銀灯や蛍光灯からLED照明に交換した
・ボイラーや熱源機器を省エネタイプのものに更新した
・高効率の貫流ボイラーに替えてエネルギーを削減した
・循環加温ヒートポンプを導入してCO2を削減した　など

電力を削減するには、照明の明るさを調整したり人感センサーを活用したりするのもおすすめです。

直接的な省エネ設備ではありませんが、ロボットなどの導入によって空調や照明の早期消灯につながった事例もあります。

機械や設備のメンテナンスを定期的に行う

機械や設備の導入が難しい場合は、定期的にメンテナンスを行うことでエネルギーの効率化や最適化が可能です。

CO2排出量削減になるため、カーボンニュートラルの実現が十分に期待できます。

定期的なメンテナンスでエア漏れに対応し、エネルギーのロスを削減した事例も複数あります。

メンテナンスのスケジュールを見直してみるのもおすすめです。

空調の温度設定や稼働時間を調整する

カーボンニュートラルを目指すなら、空調の温度設定や稼働時間を調整するのもぜひ取り入れてもらいたい取り組みです。

無理のない範囲で空調の設定温度を調節すれば、消費電力量の削減が見込めます。

ただし、温度センサーの劣化や空調の設置場所などによって空調の設定温度と室温に乖離が生じている可能性があります。

事前に室温を計り、室温に見合った設定温度に調整しましょう。

終業時間より早めに空調を止めて冷えた空気の残熱を利用するのも、消費電力を抑えるのに効果的な方法です。

工場でカーボンニュートラルを目指すときのポイント

実際にカーボンニュートラルを推進するなら、期待する効果が得られるように取り組む必要があります。

下記のポイントを押さえたうえで取り組むのが効率的です。

・PDCAサイクルを取り入れる
・中長期的な計画を立てる
・自社工場に適した方法を選ぶ

カーボンニュートラルに取り組む際にPDCAサイクルを取り入れれば、手間やコストの無駄を最小限に抑える効果が期待できます。

現状を把握すれば自社工場に適した計画を実行でき、検証結果に応じて改善につなげられます。

そして、カーボンニュートラルを目指すなら継続的に取り組みましょう。

短期的な取り組みでは実現が難しいため、中長期的な計画を立てることも大切です。

無理なく継続するためにも、自社工場の予算や設備の状況などに合った方法を選ぶことをおすすめします。

工場でカーボンニュートラルを目指すなら遮熱がおすすめ

工場でカーボンニュートラルを目指すなら、遮熱を取り入れるのがおすすめです。

工場の屋根や外壁に遮熱材や遮熱シートを施工することで、効果的な暑さ対策ができます。

遮熱やさん（運営：植田板金店）では、下記の遮熱材・遮熱シートを活用して遮熱工事を行っています。

・超薄型高遮熱材「シャネリア」
・日陰式遮熱資材「ルーフシェード」
・遮熱シート「スカイ工法」

それぞれの遮熱材・遮熱シートについて、詳しく解説するので、遮熱を検討する際の参考にしてください。

超薄型高遮熱材「シャネリア」

「シャネリア」は遮熱やさん（運営：植田板金店）のオリジナルの遮熱材です。

屋根や外壁へ施工することで、太陽からの輻射熱を約97％カットできます。

室温が最大で15度も下がり、空調の消費電力の削減率が最大45％になった実績も持っています。

空調の効率も向上するため、カーボンニュートラルを実現するのに有効です。

シャネリアの詳細はこちら

日陰式遮熱資材「ルーフシェード」

ルーフシェードは、既存の屋根の上に遮熱・断熱効果の高い高密度メッシュシートを取り付けるタイプの遮熱材です。

シートと屋根の間にある空気層が熱伝導を低減させるため、熱気を放出する効果も期待できます。

鋼板屋根の場合と比較して、5〜10月の冷暖房の負荷を44.4％削減した実績を持っています。

ハゼ式折板屋根を遮熱するのにおすすめです。

ルーフシェードの詳細はこちら

遮熱シート「スカイ工法」

スカイ工法は、アルミ製で純度99％のスカイシートを折板屋根に沿って取り付ける工法です。

作業する際の天候や作業者の技量に左右されずに貼ることができ、遮熱塗装よりも安定した遮熱効果が見込めます。

施工すれば太陽からの輻射熱を約97％カットするため、冷暖房費の節約にもつながります。

遮熱だけでなく雨漏り対策も同時に行いたい場合にもおすすめです。

スカイ工法の詳細はこちら

工場に遮熱工事を実施した事例

実際に工場で遮熱工事を行った事例を3つ紹介します。

どのように施工したのかも解説するので、遮熱工事を検討している方の参考になりましたら幸いです。

岡山市東区の工場屋根に遮熱工事をした事例

経年劣化で強度が低下し、汚れや色あせもみられる折板屋根を施工した事例です。

シャネリアを施工した上からカバー工事を行っています。

人が登れる強度の屋根となり、暑さ対策や美観向上もできました。

岡山県倉敷市の工場屋根に遮熱工事をした事例

築30年以上の工場の屋根に、暑さ対策と補強工事を行いました。

6,000平方メートル以上の面積があるため、シャネリアを設置したそばからカバーを被せる方法で施工しています。

遮熱の効果を実感していただける整った屋根となりました。

香川県高松市の工場屋根に遮熱工事をした事例

広範囲にサビがみられる屋根への遮熱工事と棟部分へのカバー工事を行った事例です。

屋根の上にルーフシェードを格子状に張り、外壁にもシャネリアを施工しました。

美しい見た目で、暑さ対策も整った工場となりました。

工場でのカーボンニュートラルの実現に活用できる可能性がある補助金や助成金

工場のカーボンニュートラル実現に向けて設備を導入する際、初期投資の費用が課題となる場合があります。

その際は、補助金や助成金を活用するのがおすすめです。

実際に補助金を活用して、カーボンニュートラルを実現した工場もあります。

国が実施している主な補助金・助成金を3つ紹介します。

・脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業（SHIFT事業）
・省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
・民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業　など

たとえば、脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業（SHIFT事業）は、CO2排出量を大幅に削減するための設備改修を支援する補助金制度です。

環境省が行っており、カーボンニュートラルの実現に貢献することを目的としています。他にも、自治体でも補助金や助成金を設けている場合があります。

制度の補助率や上限額などは年度によって変わる場合があるため、公式サイトで最新情報を確認しましょう。

▼関連サイト
一般社団法人温室効果ガス審査協会｜脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業（SHIFT事業）
一般社団法人環境共創イニシアチブ｜省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
環境省｜民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業

取り組みを参考に工場でのカーボンニュートラルの実現を目指そう

工場でカーボンニュートラルに取り組むと、光熱費や燃料費などのコストを削減できます。

企業イメージの向上につながった事例もあり、資金調達がスムーズになることも期待できます。

特に遮熱工事はカーボンニュートラルの推進に貢献できるうえで、従業員の暑さ対策にも効果的です。

取り組みを参考に自社に適した方法を取り入れ、カーボンニュートラルと働きやすい環境を実現しましょう。

▼関連記事
カーボンニュートラルとは？工場では遮熱材が効果的な理由を解説
なぜ工場の二酸化炭素（CO2）対策は必要？メリットと削減方法を紹介