工場で発生しやすいヒヤリハットの事例を紹介！原因や対策も解説
「自社工場のヒヤリハットをなくしたい」
「工場のヒヤリハットの対策を知りたい」
工場で労働災害を防ぐためには、ヒヤリハットを防ぐことが重要です。
事故が起きなかったことに安堵するのではなく、原因を分析し、対策を実施する必要があります。
しかしヒヤリハットといってもさまざまな種類があり、どのような原因・対策があるのかわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、工場で発生しやすいヒヤリハットを紹介します。
工場で発生した事例や原因、対策などを解説するので、ぜひご覧ください。
工場で注意すべきヒヤリハットについて、以下のポイントを紹介します。
・ヒヤリハットの基礎知識
・労働災害との関係性を示す「ハインリッヒの法則」
それぞれの内容について詳しく解説します。
ヒヤリハットとは業務中に「ヒヤリとした」「ハッとした」という危険なことが発生したものの、災害に至らなかった事象のことです。
大事には至らなかったとはいえ重大な事故の一歩手前の事象になるため、何も対処しない場合は今後大きな事故につながる恐れがあります。
今後の大きな事故を回避するためには、業務中に発生したヒヤリハットを記録し、それらに対策を講じる必要があります。
ハインリッヒの法則とはアメリカの保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した事故や労働災害に関する法則です。
1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、さらにその背後には300件のヒヤリハットが隠れているというものです。
重大な事故を防ぐためには、ヒヤリハットの予防がいかに重要かを示しています。
ヒヤリハットを予防するには、ヒヤリハットの起きる原因を把握し、素早く対策を取ることが重要です。
工場におけるヒヤリハットのなかでも、よく発生する事例は以下のとおりです。
・転倒
・はさまれ、巻き込まれ
・動作の反動、無理な動作
それぞれどのようなヒヤリハットが発生していたか紹介するので、ぜひご覧ください。
工場で起こった転倒のヒヤリハットの事例が以下のとおりです。
・作業員2名による鉄板運搬中、うち1名の足がもつれたことで転倒しそうになった
・フリーローラーの上に板を置いて作業していたところ、ボルトを締めるためにかけた力でバランスを失い、転倒するところだった
・作業場を移動中、床に散乱していたアーク溶接コードに気づかず、足を引っかけて転倒しそうになった
工場では作業環境の整備不足や従業員の不注意などで、転倒のヒヤリハットの事例が多く発生する傾向があります。
工場で起こったはさまれ・巻き込まれのヒヤリハットの事例は以下のとおりです。
・横中ぐり盤の回転中に切粉を払っていたところ、軍手が引っかかり、巻き込まれそうになった
・近道するために自動運転中の金属加工機の危険箇所に立ち入り、排出された鋼材に挟まれそうになった
・プレス機械の誤操作と安全装置の不備が重なり、指を挟まれそうになった
工場では従業員の不注意や作業手順の不徹底などにより、はさまれ・巻き込まれのヒヤリハットの事例が多く発生しています。
重大な怪我につながりやすいので、特に注意が必要です。
工場で起こった動作の反動・無理な動作のヒヤリハット事例が以下のとおりです。
・鋳砂を運搬中、急に上半身をひねって振り返ったところ、背中の下部に痛みが生じた
・長時間の管ガラスの検査で前屈姿勢だった状態から立ち上がる際に、腰を痛めかけた
・階段で重いガスボンベを無理に引き上げた結果、腰を痛めかけた
工場で重いものを動かしたり、長時間同じ姿勢を続けたりすると、身体の一部に負担がかかることがあります。
その際に無理をすると、怪我や事故につながるおそれがあるので、注意が必要です。
工場でヒヤリハットが起きる主な原因として、以下が挙げられます。
・暑い室内や乱雑な作業スペースなどの「環境要因」
・作業員の疲労や油断などの「人的要因」
・作業員への教育や情報共有の不足といった「管理的な要因」
それぞれ詳しく紹介します。
整理整頓が行き届いていない、照明が暗い、暑さ対策が不十分といった作業環境ではヒヤリハットが発生しやすくなります。
たとえば、整理整頓が行き届いていないと、作業員が資材などにつまずくヒヤリハットの発生につながります。
夏の暑さで作業員の集中力が散漫になる環境でも、設備にぶつかる、道具で手を挟むなどのリスクが高くなるため対策が必要です。
作業環境が不適切な場合、安全に作業することが困難になり、ヒヤリハットが発生するリスクが高くなるので注意しましょう。
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暑い室内のように作業負荷の高い環境では、作業員が疲労やストレスを感じやすく、ヒヤリハットが起きやすい傾向があります。
疲労やストレスによって集中力が低下すると、普段行っている作業であってもミスが発生しがちです。
さらに、注意力の散漫によって普段なら気づく異常であっても見逃す可能性が高くなります。
また、仕事に慣れた頃には、油断によるヒヤリハットが起きやすくなります。
作業員が疲れていないか、気を抜いて作業をしていないかなど、目配り・気配りが大切です。
作業員への教育や情報共有の不足といった「管理的な要因」
教育・訓練不足により、作業者が十分な知識やスキルを習得できていないと、作業中にミスが起こりやすくなります。
特に新入社員や外国人労働者などがいると、ヒヤリハットが起こりやすくなる傾向があります。
新入社員や経験が浅い作業員だと、作業手順や作業環境の不適切な点に自力で気づけません。
新入社員が配属された際には、十分に教育を行い、決められたルールや手順を守って作業してもらう必要があります。
また、厚生労働省の外国人労働者安全衛生管理の手引きでは、日本語能力と労働災害との間に一定の相関がうかがえるとしています。
なかでも技能実習生は経験も不足しているので、ヒヤリハットにつながる行動がみられないかなど、特に注意が必要です。
工場におけるヒヤリハットへの対策としては、以下が挙げられます。
・工場で暑さ対策を行い、作業負荷を軽減する
・5S活動を徹底して作業しやすい職場を作る
・KYT（危険予知訓練）で作業員の危険感度を高める
・マニュアルの見直しと周知徹底を行って作業手順を最適化する
それぞれ詳しく紹介します。
ヒヤリハットを予防するには事故の原因になりうる環境を改善することが重要です。
特に夏の暑さは、作業員の集中力や判断力を直接低下させてしまい、ヒヤリハットが起きやすくなります。
暑さ対策には断熱工事やファンの設置などがありますが、おすすめは遮熱です。
遮熱は太陽光の輻射熱を反射することで、熱が工場内に侵入するのを防げます。
屋上や外壁に遮熱材や遮熱シートなどを施工すれば、工場内の温度上昇を抑制しやすいです。
室温が安定して冷房効率も良くなるので、集中力の低下や熱中症を防ぎ、夏の暑さによるヒヤリハットを予防できます。
5S活動を徹底することで、転倒などのヒヤリハットにつながる潜在的なリスクの低減につながります。
5S活動とは、職場環境を改善する手法です。
「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つで構成されており、徹底すれば安全で効率的な職場環境を維持できます。
環境改善だけでなく従業員の安全意識の向上も図れる対策です。
5S活動によって快適な作業環境に整えれば、従業員が働きやすくなり、工場の生産性向上につながります。
KYT（危険予知訓練）の実施も有効なヒヤリハットへの対策です。
KYTとは、作業現場などにおける危険を予測し、事故や災害を予防するための訓練です。
グループで現場や作業の危険箇所を洗い出し、対策を話し合うことで危険に対する感度を高めます。
実際に発生したヒヤリハットの事例をもとに検討すると効果的です。
KYTが不十分、または実施されていないと、作業員が危険や異常に気づけずにヒヤリハットの発生リスクが高まります。
マニュアルの見直しと周知徹底を行って作業手順を最適化する
作業手順を見直し、最適化することで、ヒヤリハットの予防につながります。
現場で発生したヒヤリハット報告をマニュアルや作業手順書に反映すると効果的です。
ヒヤリハット報告が考慮されていないマニュアルだと、怪我や事故が再発するリスクがあります。
作業手順を見直したあとは、朝礼や掲示、チェックリストの作成などを行って従業員への周知徹底に努めましょう。
外国人労働者でも確認できるよう、日本語以外の言語でも掲示するといった工夫も大切です。
工場でヒヤリハットの対策に取り組み、労働災害の発生を予防しよう
