労災は生産ラインの遅れや従業員への損害賠償など、さまざまな影響を工場に及ぼすため、日々の対策が重要です。

さらに冬期は普段と環境が異なるため、季節に適した対策が求められます。

本記事では、労災が冬に多い理由や発生しやすい労災の種類、冬に発生する労災への対策例について解説しています。

冬に多い労災に対策を講じたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

労災が冬に多い理由

冬になると労災は増える傾向があり、工場も例外ではありません。

実際に厚生労働省が発表しているデータでは、令和5・6年ともに製造業の労災発生件数は1月に増加しています。

冬期に労災が増える理由は、寒さによる床面や路面の凍結、身体能力や集中力の低下、換気不足などが挙げられます。

寒冷地では、除雪中や雪下ろし作業中の労災も発生している状況です。

冬期は、普段から工場内に潜在しているリスクだけでなく、寒さによるリスクも加わるため労災が多くなる傾向があります。

冬に多い労災の主な種類

寒さが厳しくなる冬期は、下記の労災が発生しやすくなります。

・転倒や転落
・一酸化炭素中毒
・機械へのはさまれ、巻き込まれ
・通勤中の交通事故

それぞれの労災について、発生する要因とあわせて詳しく解説します。

転倒や転落

冬期の労働災害として特に注意したいのが転倒です。

屋外での作業がある場合、凍結している地面に滑って転倒する恐れがあります。

出入り口付近は外気によって床面も凍結している可能性があるため、注意が必要です。

また、工場はコンクリート製の床が一般的であり、冷えることで結露が発生する場合があります。

床が濡れると滑りやすくなるため転倒するリスクが高まります。

雪下ろし中の高所からの転落も、冬期に多く発生する労災の一つです。

一酸化炭素中毒

燃焼式の暖房器具などの使用が増える冬期は、一酸化炭素中毒が発生しやすくなります。

室内の暖気を逃がさないために換気を怠ることも、一酸化炭素中毒を発生させる要因です。

とくに普段使用しているエアコンが不具合で稼働せず、燃焼式の暖房器具を臨時で使うときは、換気を失念しやすくなるため注意が必要です。

燃焼式の暖房器具以外でも、ガソリンエンジン付きの機械の使用も一酸化炭素中毒になる可能性があります。

機械へのはさまれ、巻き込まれ

機械へのはさまれ・巻き込まれも、冬期に発生しやすくなる労災です。

工場内の寒さによって集中力が低下するだけでなく、寒さ対策のために着用していた防寒着や防寒グッズが機械に巻き込まれる可能性があります。

普段通りに作業していても、動きづらさから思わぬ事故に発展する可能性があるため、防寒着などの着用状況には十分に注意が必要です。

通勤中の交通事故

業務中だけではなく、通勤中の交通事故も通勤災害として労災に認定される場合があります。

凍結した路面は、タイヤのスリップなどによって事故が発生しやすくなるため、冬タイヤへの交換といった対策が求められます。

ただし、冬タイヤへの交換はすぐに実施できない場合も多く、対策が不十分なまま通勤となるケースも少なくありません。

また、車だけでなく自転車も冬期は事故が起きやすくなるので注意しましょう。

工場で実施できる冬に多い労災への対策

冬に多い労災の発生を防ぐには、工場で対策を講じることが大切です。

参考として、冬期に工場で実施できる下記の対策を紹介します。

・工場の寒さを改善する
・作業環境を整える
・職場のルールを見直す
・安全に対する従業員の意識を向上させる

一つずつ解説します。

工場の寒さを改善する

寒さが厳しい作業環境は、従業員の集中力や身体能力を低下させて、さまざまな労災を引き起こす恐れがあります。

工場の寒さを改善して労災を予防するなら、下記の対策が有効です。

・業務用の暖房器具を導入する
・工場に断熱、遮熱工事を行う

工場全体ではなく局所的に暖かくしたい場合は、遠赤外線ヒーターのような業務用の暖房器具を導入すると、作業環境の改善が見込めます。

ただし、燃焼式の暖房器具を使用する際はこまめな換気が必要です。

暖房器具を使用しても工場内が温まらない場合は、建物の外に熱が逃げている可能性があります。

建物に断熱や遮熱工事を行えば、熱が工場の外に逃げるのを抑制できるため、暖房効率の向上につながります。

遮熱は熱を反射させて室内に留め、断熱は熱の移動速度を遅くして外に逃げにくくする対策です。

遮熱と断熱のどちらか一方でも効果は期待できますが、併用するとより効果的です。

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作業環境を整える

労災の予防には、従業員に注意を呼びかけるだけでなくリスクを発生させない環境づくりも大切です。

下記のような具体策を実施すれば、転倒の予防につながります。

・危険箇所をマップ化して共有する
・出入り口や通路、階段に手すりを設置する
・床面に融雪ヒーターを設置する
・室内や野外作業場、駐車場の明るさを確保する

危険箇所を事前に共有して注意を促せば、従業員の労災防止への意識向上が見込めます。

手すりのように掴める場所があれば、足が滑っても転倒を防ぎやすくなります。

床面を凍結させないために、融雪ヒーターの設置も有効です。

薄暗い環境下では床面の凍結や濡れに気づきにくくなるため、工場や敷地内の明るさが十分に確保されているか確認しましょう。

職場のルールを見直す

労災防止のために、冬期限定のルールを新たに追加したり、既存のルールを見直したりするのも効果的です。

具体的には下記の内容についてルールを設けると、冬期の労災防止につながります。

・着用できる防寒着や防寒具の種類
・冬期期間中の換気の頻度
・作業開始前に軽い体操の実施

マフラーや手袋を着用すると、作業内容や使用する機械や設備によっては、操作を誤ったり巻き込まれたりする恐れがあります。

作業内容に支障がないものだけを着用するように、工場でルール化しましょう。

燃焼式の機械や設備を使用する工場なら、換気する頻度を定めて徹底させれば、一酸化炭素中毒になるリスクの低減が見込めます。

寒さによって身体がこわばっている可能性があるので、ほぐすための軽い体操も有効です。

安全に対する従業員の意識を向上させる

工場側が対策を講じても、従業員の安全に対する意識が低いままだと十分な効果が見込めません。

朝礼や研修を利用して、従業員の安全意識の向上を図りましょう。

従業員が各自で行える対策を共有するのも有効です。

下記の行動を促すだけでも労災の予防につながります。

・ポケットに手を入れた状態で歩かない
・滑りにくい作業靴を使用する
・時間に余裕をもって通勤する

労災の発生を防ぐには、従業員一人ひとりが安全を意識した行動をとることが重要です。

冬に多い労災を予防するために暖房効率を向上させるなら遮熱が効果的

寒さを改善するために暖房を使用しても、工場内は天井が高く広い空間となっているため、暖まりにくい傾向があります。

金属やコンクリートといった熱伝導率が良い建材を使用していることも多く、室内の熱が外に逃げやすいのも寒さの要因です。

遮熱は赤外線を代表とする「輻射熱」を反射させる機能があるため、屋根や外壁に施工すれば熱が外に逃げるのを抑制し、暖房効率の向上が見込めます。

暖房効率が改善されれば、電気代の削減にもつながります。

ただし、空気や物を介して伝わる熱には十分な効果が期待できないため、同時に断熱も施工するのがおすすめです。

遮熱やさん（運営：植田板金店）には、工場に遮熱工事を行ってきた豊富な実績があります。

輻射熱を約97%も反射させる遮熱材「シャネリア」を活用した工事にも対応しています。

遮熱工事を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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冬に多い労災の発生を防いで従業員の安全を守ろう

労災が発生すると従業員だけでなく工場にさまざまな影響が及ぶため、予防することが大切です。

とくに冬期は、寒さの影響で他の季節より労災が発生しやすい傾向があり、普段の取り組み以外にも冬に合わせた労災対策の実施が求められます。

また、工場内が寒いと、従業員の集中力や身体能力の低下を引き起こして労災が発生する可能性が高くなります。

暖房器具を使って寒さを改善するなら、建物内から熱が逃げにくくなる遮熱が有効です。

自社工場で冬期に発生が見込まれる労災を洗い出し、要因に合わせた対策を実施しましょう。

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