工場や倉庫のスレート屋根に暑さ対策が必須な理由！最適な方法を解説
工場や倉庫では、スレート材を使った屋根をよく見かけます。
波型の形状をしている「波型スレート」と呼ばれるものが一般的です。
コストパフォーマンスが優れているためよく使用されていますが、暑さ対策が欠かせない屋根材でもあります。
また、2004年以前に製造された波型スレートにはアスベストを使用しているものがあるため、注意が必要です。
一般的な暑さ対策の中には、アスベストを含む屋根材には適用できないものもあるためです。
さらにアスベストを使用した屋根材を除去する際には、飛散防止措置と産業廃棄物処理費用が必要となります。
本記事では、スレート屋根の暑さ対策が必須な理由と、最適な方法について解説します。
アスベストを使用している屋根材には向かない方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
スレート屋根の工場や倉庫の中が暑くなる理由は、以下の通りです。
・スレート屋根は室内に暑さが伝わりやすい
・工場や倉庫の構造的に空調効率が悪い
・工場内の設備から廃熱がある
理由がわかると対策が立てやすくなるため、ぜひ参考にしてください。
スレート屋根は薄く、太陽の熱を室内に伝えやすいという特徴があります。
また、屋根が直射日光を受けると輻射熱が発生します。
スレート屋根から屋内に輻射熱が伝わって、室温を上昇させるのです。
遠赤外線は輻射熱の一種で、特に人体に深く浸透しやすい性質を持っています。
そのため遠赤外線にさらされると体の内部まで熱が伝わりやすく、より強く暑さを感じやすくなります。
工場や倉庫は天井が高くて空間が広いため、空調設備を導入しても室温が下がりにくい傾向があります。
さらに明かり取りのために天井窓が設置されていると、直射日光が室内に降り注ぎ、より暑くなりやすいのです。
荷物が多いと空気の流れが滞りやすいため、冷やされた空気が行き渡りにくくなっている可能性も考えられるでしょう。
一般的に工場や倉庫は窓が少ない傾向があり、熱気を外に逃がしにくく、室温が上がりやすい場合も多いです。
また工場や倉庫によっては人や物が頻繁に出入りするため、出入り口が開けっ放しになっている場合もあります。
開けっ放しの扉から、冷えた空気が外に逃げてしまいます。
工場によっては、設備からの廃熱によって室温が上がることがあります。
ヒーターやボイラ－、乾燥炉の近くは特に暑くなりやすい場所です。
一般的な工場や倉庫よりも暑さを感じやすくなります。
スレート屋根の工場や倉庫に施工できる暑さ対策には、以下の方法があります。
・遮熱シート
・遮熱塗装
・断熱材
・屋根散水
・カバー工法
・葺き替え
屋根の状態や予算によって、最適な方法は異なります。
具体的な内容を解説するので、取り入れられる方法がないか検討してください。
遮熱シートを屋根に施工すると太陽光による熱を遮ることができ、室内に熱が伝わりにくくなります。
遮熱シートは人体の体感温度に影響する輻射熱を防ぐため、熱中症予防にも効果的です。
主な工法にはスカイ工法があり、既存の屋根に沿ってスカイシートを貼りつける方法です。
スカイシートは太陽光からの輻射熱を約97％カットし、屋根の温度上昇を抑える効果が期待できるほか、雨漏り防止効果もあります。
屋根材にシートを施工するため、職人の技術に効果が左右されにくい利点もあります。
屋根に遮熱効果のある塗料を塗ると、太陽光で屋根が熱くなるのを防ぐ効果が期待できます。
一般的な塗料に比べると扱いが難しく、職人の技術によって塗りムラができやすくなります。
そのため、遮熱シートに比べて効果にもムラが出やすい点に注意が必要です。
塗料によって耐用年数があり、使用した塗料に合わせて塗り直す必要もあります。
なお、アスベストを使用したスレート屋根には塗装ができない点に注意しましょう。
断熱材は、対流熱と伝導熱の両方を防ぐ効果があります。
ただし暑さの原因である太陽光の輻射熱は、室内に届いてしまいます。
外からの熱による室温の上昇を防ぐには、遮熱シートと断熱材の併用が有効です。
屋根散水とは、屋根にスプリンクラーを設置し、水をまいて屋根の温度を下げる方法です。
水が水蒸気に変わる際の「気化熱」を利用し、屋根の温度を下げることができます。
導入コストが抑えられるのもメリットの一つです。
ただし屋根材に藻やカビが発生する危険性もあり、かえってランニングコストがかかる可能性があります。
また、古いスレート屋根はアスベストを使用している可能性があります。
アスベストを使用している場合は散水できないため、事前に屋根材について確認しましょう。
既存の屋根の上から、遮熱機能のある屋根材を重ねて設置する方法です。
改修工事を兼ねるため、メンテナンスを兼ねて暑さ対策ができます。
既存の屋根材と新しい屋根材の間に空気の層ができることで、断熱効果も得られます。
屋根材の種類や、設置する面積によって費用が異なるため、カバー工法を検討している方は業者に相談すると良いでしょう。
アスベストを使用したスレート屋根の場合、一般的にカバー方法での対策が向いています。
既存の屋根が劣化している場合、新たな屋根材を設置する方が良い場合もあります。
新しい屋根材に遮熱効果のあるものを選べば、屋根からの輻射熱を軽減して室温の上昇を妨げます。
アスベストを使用したスレート屋根が劣化している場合、葺き替えが安心です。
ただし、カバー工法に比べると屋根材の撤去や処分に費用がかかる点に注意しましょう。
屋根に施工する暑さ対策は工事日数がかかるため、その間の暑さ対策として室内に導入できる暑さ対策を紹介します。
・遮熱シートを機械に貼り付ける
・工場内にシーリングファンを設置する
・スポットクーラーを導入する
・間仕切りカーテンを取り付ける
手軽に導入できる方法もあるため、検討してください。
工場内にある設備による廃熱で室温が上がっている場合、遮熱シートで覆うと暑さ対策になります。
ヒーターやボイラーから発生する輻射熱は、体感温度を上昇させるためです。
遮熱シートで輻射熱を遮ることができれば、近くで作業する作業員が感じる暑さが軽減できます。
工場や倉庫内の空気を循環させたい場合、シーリングファンが効果的です。
空調の冷気を循環させ、空調効率を高めることができます。
風で汗を蒸発させ、体温を下げる効果もあります。
ただし工場での作業内容や倉庫内の物品によっては適さない場合もあるため、事前に不具合が生じないか検討してください。
工場の構造的に空気が循環しにくく、部分的に暑くなる場合もあります。
その際は、スポットクーラーの導入がおすすめです。
スポットクーラーは局所的に空気を冷やせる冷房装置です。
機種によっては軽量で比較的動かしやすく、必要な場所に設置できます。
人や物の出入りが多く、ドアを開けたままにしている工場や倉庫には、間仕切りカーテンがおすすめです。
ドアに設置すると冷えた空気が外に逃げるのを防ぎ、空調効率を高めることができます。
ただし間仕切りカーテンだけでは空気を冷やす効果はないため、シーリングファンやスポットクーラーとの併用も検討してみましょう。
スレート屋根に暑さ対策を施して快適な作業空間を作ろう
工場や倉庫の条件によって、最適な暑さ対策は異なります。
スレート屋根の場合、塗りムラが生じにくく、ランニングコストが抑えられる遮熱シートの施工がおすすめです。
断熱材を併用すれば、冬場の結露対策にもなります。
長期的な維持を考慮する場合は、遮熱シートと断熱材の併用が安心です。
最適な方法を決めかねている方は、業者に相談すると、工場や倉庫の環境を踏まえたアドバイスをしてもらえるでしょう。
最適な暑さ対策を施し、快適な作業空間を作ってください。
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