倉庫を断熱する方法とは？防げるリスクや暑くなる原因についても解説
「倉庫が暑すぎて熱中症になりそう」
「断熱材は効果があるのだろうか」
「空調があまり効いていないのに、光熱費がかなりかかっている」
倉庫の暑さ対策を検討しているけれど、断熱は効果があるのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では倉庫を断熱する方法や、以下の内容について解説します。
・倉庫を断熱する方法
・倉庫を断熱することで防げるリスク
・倉庫が暑くなる原因
断熱材の注意点やおすすめの暑さ対策などについて解説していますので、参考にしてください。
断熱とは熱の伝導を遅らせることです。
熱には移動する性質があるので外からの熱が室内に入ると暑くなり、室内の熱が外に逃げると寒くなります。
このような熱の伝導を抑える断熱は、暑さだけでなく寒さ対策にも効果的な方法です。
倉庫を断熱する方法として、以下の3つが挙げられます。
・断熱材の施工
・外壁や屋根の断熱塗装
・窓ガラスの交換
各断熱方法の特徴や注意点について、詳しく説明します。
断熱材の施工とは、外壁や屋根に断熱材を敷き詰めたり吹き付けたりすることで断熱を行う方法です。
倉庫の構造によっては、天井に断熱材を施工できる場合もあります。
断熱材には以下のようなものがあり、厚みがあるほど高性能です。
・無機繊維系断熱材（グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー）
・発泡スチロール系断熱材（ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム）
ただし無機繊維系断熱材は水が苦手で、発泡スチロール系断熱材は火が苦手という特徴もあります。
施工する際には施工したい場所と各断熱材の特徴を把握し、業者と相談することが望ましいです。
断熱材は太陽の熱を吸収する性質を持ち、室内の温度が上がる場合がある点にも留意しましょう。
断熱効果のある塗料で屋根や外壁を塗装することも、断熱対策となります。
倉庫の屋根や外壁は経年劣化や紫外線や雨風にさらされることによって、定期的に塗装のメンテナンスが必要な場合も少なくありません。
断熱効果のある塗料で塗装メンテナンスを行うことにより、倉庫の外観維持や雨漏り対策に加えて断熱対策も兼ねられます。
塗装は、倉庫の寿命を延ばすためのメンテナンス計画に取り入れやすい断熱方法です。
窓は、熱の伝導が多く発生する場所です。
そのため窓ガラスを断熱性の高い複層ガラスに交換することも、倉庫の断熱に効果があります。
他の断熱方法と比較するとシンプルな方法なので、倉庫内での業務に支障となりにくいのが利点です。
注意点として、採用するガラスの種類によってはサッシごと交換しなければならない場合があることが挙げられます。
断熱することは、下記のようなリスクへの対策にもつながります。
・作業環境の悪化
・熱中症などによる健康被害
・製品の品質低下
・倉庫や設備の経年劣化
・無駄な費用
断熱を検討している方は参考にしてください。
あまりにも暑い作業環境は従業員への負担が大きく、体調の悪化を招きます。
倉庫の暑さを放置すると、作業環境の悪化や作業効率の低下につながりかねません。
断熱で快適な環境にすることは作業環境の改善になり、作業効率の低下も抑えられます。
従業員も働きやすい職場になると元気に働けるので、従業員の早期離職など人材流出の防止も期待できます。
高温の労働環境は、熱中症やさまざまな病気のリスクとなり得ます。
冷房を稼働しているかもしれませんが、断熱されていない倉庫内では空気が温められてしまうため冷房の効率が悪く効果が感じられないケースも少なくありません。
しかし断熱をすると、室温が上がりすぎるのを抑えられるため冷房が効きやすくなります。
熱中症対策にはもちろん、後述する結露やカビなどの防止にもなるので他の健康被害リスクも低減可能です。
高温の倉庫は、商品の保管に適した環境とはいえません。
断熱していない倉庫も温度差が大きく、結露やカビ・ダニが発生しやすい環境です。
在庫商品や材料にも悪影響で、状態によっては廃棄せざるを得ない場合もあります。
屋外と室内の温度差を抑える効果もある断熱は、商品や材料の劣化を防いで保管するための環境作りにも有効です。
断熱は室内の温度差も少なくでき、結露によるカビ・ダニなどの発生防止にもつながります。
空調設備も冷暖房の効率が向上することで、断熱する前よりは負荷の抑制が容易です。
断熱による暑さや結露の対策は倉庫そのものや設備へのダメージ軽減につながるため、修理する頻度が減ることも期待できます。
先述した要因を抑えた結果、断熱をすることでさまざまな費用の削減が期待できます。
・冷暖房の効率が改善し、光熱費を節約できる
・商品や材料のロスが減り、材料費を抑えられる
・倉庫や設備の改修費用や修理費を最小限にできる
可能であれば、無駄な費用は最小限に抑えるのが望ましいです。
倉庫が熱くなる主な原因として、下記の4点が挙げられます。
・倉庫内部の構造
・空調設備の劣化
・屋根、外壁から伝わる熱
・太陽からの輻射熱
断熱を検討している方は、倉庫が熱くなる原因を把握しておくのが望ましいです。
倉庫内部は温度が上がりやすい要素を抱えています。
天井が高く仕切りがない構造の倉庫が多いためです。
全体的に広い上に窓も少なく、風通しが悪い傾向にもあります。
このような構造の倉庫では涼しくしようと空調を稼働しても、冷気が回る前に空気が温められてしまいます。
これらの理由から倉庫が全体的に暑くなりやすいのです。
空調設備自体が経年劣化している、古いタイプのものを使用しているなどの場合は、空調自体が効果的に機能していないために倉庫が暑くなりやすいです。
ただでさえ暑くなりやすい構造の倉庫では、パワフルなタイプの空調を設置するのが望ましいケースも多く見られます。
空調の修理や交換に時間が必要な場合もあるため、メンテナンスや新規の空調設備を検討しておくのが無難です。
屋根や外壁による対流熱や伝導熱が発生しやすいのも、倉庫が熱くなる原因です。
伝導熱は「熱で物質が温められること」、対流熱とは「温度差が生じた空気や液体の循環によって熱が移動すること」を指します。
倉庫の屋根は、金属やスレートというケースが大半です。
太陽からの熱は金属やスレートの屋根を95％透過して建物内に入るため、屋根からの伝導熱によって倉庫内の温度が上がってしまいます。
外壁も日光が当たるため、外壁からの伝導熱が起こりやすいです。
倉庫内部も対流熱によって低温の部分が温められるため、さらに暑くなります。
対流熱や伝導熱を抑えるなら断熱材の施工は有効です。
しかし断熱材では、太陽から発せられる輻射熱を防ぐことはできません。
輻射熱とは、遠赤外線や電磁波などによって発生する熱です。
建物内において伝導熱や対流熱以上に伝わりやすく、太陽からの輻射熱が屋根や外壁に溜まり、室内に放出されることで温度が上がります。
断熱材で伝導熱や対流熱の対策はできても輻射熱は防げません。
輻射熱は断熱材に蓄熱してしまうため、夜は室内に放熱されてしまいます。
そこでおすすめなのが遮熱シート（遮熱材）です。
