輻射熱とは？他の熱との違いや工場で実施したい対処法について解説
「輻射熱ってそもそも何だろう？」
「工場の暑さ対策をするために輻射熱について知りたい」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
輻射熱は、工場内の労働環境を左右する非常に重要な熱の種類の一つです。
本記事では輻射熱の基本知識から工場での輻射熱対策まで、輻射熱について幅広く解説をしています。
輻射熱の知識をつけたい方は、ぜひご一読ください。
まずは、輻射熱の基礎知識を得ておきましょう。
ここでは下記の内容について解説します。
・輻射熱とは
・熱の伝わり方は3種類
・輻射熱の特徴
・輻射熱の代表例
熱の伝わり方や輻射熱の特徴ついて理解を深めれば、熱に対して効果的な対策が可能となります。
輻射熱とは、赤外線などの電磁波が当たることによって伝わる熱のことを指します。
焚火に触れていなくても暖かいのは、焚火から放出される電磁波が体に当たって熱を感じているからです。
人からも輻射熱は放出されており、人より冷たい物体に輻射熱は移動します。
冬場に部屋の中でも窓の近くにいる方が寒く感じるのは、輻射熱の移動が理由です。
輻射熱は放射熱とも呼ばれています。
熱の伝わり方には下記の3種類があります。
・伝導
・対流
・輻射
物質を通して熱が伝わるのを伝導といいます。
身近な例として挙げられるのは、カーペットや湯たんぽです。
対流とは、気体や液体を通じて熱が伝わることを指します。
エアコンやドライヤーのように空気が動くと熱も移動する仕組みです。
熱を持った物体からでた電磁波によって熱が移動することを、輻射と呼びます。
対流のように空気の移動を伴わないため、輻射を利用した暖房器具は室内のホコリが舞わず衛生的です。
輻射熱は物や空気を介さず電磁波によって伝わるという特徴を持っています。
そのため、壁や屋根だけではなく空気の層を利用した断熱材を設置しても輻射熱を大幅にカットするのは困難です。
工場内の熱移動は輻射熱が大部分を占めるので、室内の暑さや寒さをコントロールするには輻射熱への対策が重要となります。
輻射熱の代表例には太陽の光やストーブから発せられる熱などが挙げられます。
さまざまなものから発せられる輻射熱の中でも、工場に一番影響を与えているのは太陽の光です。
太陽は、遥か遠くにある地球にいても暖かさを感じられるほど強い輻射熱を放出しています。
太陽の光によって屋根や外壁が熱せられ、その熱が工場内に伝わることにより室内温度が上昇します。
工場内の暑さを改善するためには、工場の屋根や外壁への対策が必要です。
熱の伝わり方や輻射熱の特徴について解説してきました。
建物内を移動する熱の多くは輻射熱であり、建物の中でも特に工場は輻射熱の影響を受けやすいと言われています。
なぜ工場が輻射熱の影響を受けやすいかというと、主な理由は以下の通りです。
・熱が伝わりやすい屋根材を使用している
・一般住宅よりも屋根および室内の面積が広い
・機械からも輻射熱が発生する
それぞれの理由について解説していきます。
多くの工場の屋根にはスレートや金属製の屋根材が使用されており、どちらも熱を工場内へ伝えやすいという特徴があります。
スレート屋根は下地と隙間をつくらずに設置するため、通気性が良くありません。
さらにスレート材は薄いため、熱を通しやすいと言われています。
熱伝導率の良い金属製の屋根は、夏は強い日差しの影響を受けてしまいます。
太陽からの輻射熱によって工場内の温度が高くなるため、熱が伝わりやすい屋根材には対策が必要です。
工場は屋根の面積が広いので、一般住宅より太陽の光が多く当たります。
屋根に当たる太陽の光が多ければ多いほど、室内に移動する輻射熱の量は増加していきます。
さらに、工場は室内も広く空調効率が良くありません。
広い工場内の室温を一定に保つためにフル稼働している空調設備は劣化が早く、機能が低下しやすいのも要因のひとつです。
屋根から伝わる輻射熱の量が多く空調効率が悪いので、工場は輻射熱の影響を大きく受けてしまいます。
工場に影響を与えるのは、外部から伝わる輻射熱だけではありません。
機械を多く利用している工場では、工場内部にある機械からも輻射熱が発生しています。
屋根から伝わる輻射熱と機械から発生する輻射熱の影響によって、夏場の工場内は暑く過酷な環境になります。
特に熱を利用する機械の近くで働く従業員は、機械から発生する輻射熱の影響を受けやすいので熱中症に注意しましょう。
工場で輻射熱による暑さへの対処を行うには、以下の方法が有効です。
・遮熱効果のある屋根材にする
・遮熱シートを施工する
・遮熱効果のある塗料を塗る
・遮熱効果のあるロールスクリーンを設置する
・屋根用スプリンクラーを設置する
遮熱とは太陽の光などの熱線を反射させることで、熱の移動を遅らせる断熱とは効果が異なります。
それぞれの対処について解説していきます。
既存の屋根材を遮熱機能がある屋根材に変えることで、輻射熱への対処が可能です。
コストや工期はかかるものの、遮熱効果だけではなく屋根の外観の美しさと屋根寿命が延びるというメリットが得られます。
全面葺き替えか、既存の屋根に新しい屋根材を被せるカバー工法で施工します。
カバー工法の方が全面葺き替えより工期が短く低コストですが、既存の屋根材の状態によっては施工できません。
工場に適した施工方法は、業者に相談して決めましょう。
遮熱やさん（運営：植田板金店）では下記の遮熱材の施工が可能です。
・シャネリア
・ルーフシェード
いずれの施工でも、室内温度の改善や空調等のエネルギーが削減された実績があります。
シャネリアの詳細はこちら
遮熱効果のあるシートを屋根に施工すれば、太陽からの熱線を反射して屋根が熱くなるのを防げます。
屋根の全面葺き替えと比較すると、手軽にできる輻射熱への対策です。
また、塗りムラが発生する塗料塗り直しとは異なり、均一な厚さのシートを施工するため高い遮熱効果が期待できます。
遮熱やさん（運営：植田板金店）ではスカイ工法による遮熱シートの設置が可能です。
スカイ工法の詳細はこちら
遮熱効果のある塗料を屋根に塗れば、太陽からの輻射熱を遮る効果が得られます。
遮熱シートと同様、大規模な工事に比べると手軽に遮熱対策が可能です。
ただし、屋根材によっては塗れなかったり施工する職人によって塗りムラがあったりします。
塗りムラは見た目の良さだけではなく遮熱効果にも影響がでてくるため、技術の高い業者へ依頼しましょう。
塗った後は定期的に塗り直しのメンテナンスが必要です。
明るい色の塗料で屋根を塗り直しても、太陽の光を反射する効果が見込めます。
窓を多く設置している工場の場合は、窓に遮熱効果のあるロールスクリーンを設置して輻射熱の影響を軽減できます。
ロールスクリーンとは、巻き取り式のカーテンです。
芯の部分を回転させてスクリーン部分を巻き取って収納するため、窓の開閉の邪魔になりません。
一般的なロールスクリーンでも一定の暑さ対策は可能ですが、遮熱効果があるものがおすすめです。
打ち水を行うことも、輻射熱への対策として有効です。
工場で対策したい場合は、屋根用スプリンクラーを設置するという方法もあります。
屋根に水をまくと、気化熱の効果で屋根の温度を下げられます。
ただし、あくまで水をまくことを機械的に行うという装置なので、本格的な遮熱工事を行う方が輻射熱の対処法としては効果的です。
また常に屋根に水が残っている状態になりやすいため、屋根材が劣化するリスクも懸念されます。
熱は温かい場所から寒い場所へ移動するため、工場内で発生した熱を外に逃さないことが寒さ対策では重要です。
遮熱には外側から移動する輻射熱だけではなく、内側から移動する輻射熱も反射させる効果があります。
遮熱工事を行うと熱が反射して工場内に留まるため、寒さ対策にもつながります。
遮熱材による保温効果を高めるためには、空調とストーブ、オイルヒーターなど輻射熱を発生させる暖房器具も活用すると効果的です。
工場で輻射熱対策をすると下記のような効果が期待できます。
・工場内の室温が外気に影響されにくくなる
・光熱費の削減につながる
・労働環境の改善になる
・環境問題への配慮につながる
一つずつ確認してみましょう。
輻射熱を抑えると、工場内の室温が外気に左右されにくくなります。
暑い日でも工場内の室温上昇が抑えられるため、輻射熱の対策前より空調のコントロールが楽になります。
特に空調管理が必要な製品を取り扱う工場での輻射熱対策は効果的です。
空調設備の出力が抑えられるため、空調設備の劣化を抑制する効果も見込めます。
光熱費の削減も輻射熱対策で得られる効果の一つです。
夏場の暑さや冬場の寒さが軽減されるため、空調設備や暖房器具の使用が抑えられます。
遮熱工事には費用がかかりますが、長期的に見るとコスト削減につながります。
工場の光熱費に悩んでいる場合は、遮熱工事による輻射熱対策を検討してみましょう。
暑い工場での勤務は、体力的にも精神的にも辛いものです。
従業員のモチベーションや熱中症のリスクなどにも関わるため、過酷な労働環境だと感じたら改善しましょう。
遮熱工事によって工場内の暑さが軽減されれば、従業員が働きやすくなり生産性向上にもつながります。
さらに従業員の離職防止にも労働環境の改善は有効です。
輻射熱の対策を行うと、不要な冷暖房費がかかりません。
工場全体のエネルギー効率が向上するのでCO2の排出量が削減され、地球環境への配慮につながります。
国連サミットで採択されたSDGsでも重要視されているのが、地球の気候変動への取組みです。
企業としてSDGsや地球に優しい活動を行っている点をアピールすれば、工場のイメージアップにも期待ができます。
工場で輻射熱対策をするなら、下記の点に注意が必要です。
・断熱または遮熱のみの対策では万全ではない
・DIYで輻射熱対策を行うのは難しい
・施工不良があると効果がない
・定期的なメンテナンスが必要になる
対策を行う前に確認しておきましょう。
工場内の暑さや寒さは輻射熱への対応だけでは万全ではないため、注意が必要です。
遮熱によって輻射熱をカットしても、対流熱や伝導熱により工場が暑くなる可能性があります。
断熱は対流熱や伝導熱はカットできるものの、輻射熱への対策としては不十分です。
工場での暑さや寒さ対策をしっかり行うなら、遮熱と断熱の併用をおすすめします。
コスト削減のためにDIYを考える人もいますが、おすすめできません。
屋根への遮熱工事は高所での作業となるため、落下の危険が伴います。
また工場の屋根の面積は広く、施工できたとしても遮熱効果が得られるとは限りません。
DIYをした後に再修理が必要となれば二度手間です。
輻射熱への対策を行うのであれば専門業者への依頼をしましょう。
輻射熱対策のために行った遮熱工事に施工不良があれば、遮熱効果は見込めません。
業者に依頼しても遮熱塗料の塗り方にムラがあったり、遮熱シートの設置が不適切だったりする場合があります。
技術や経験がない業者へ依頼してしまうと、施工中に既存屋根が壊されてしまう可能性もあります。
トラブルにならないためにも信頼できる業者に依頼するのがおすすめです。
輻射熱対策の効果は永久に続くわけではなく、遮熱塗料や遮熱シート、屋根材にも耐用年数があります。
遮熱効果を継続させるためには、定期的なメンテナンスが必要です。
さらに、遮熱シートや屋根材に損傷がある状態だと遮熱効果が弱まっている可能性があります。
台風などの自然災害の後は、屋根や遮熱シートの損傷がないか確認しましょう。
メンテナンスや屋根の状況確認は、安全面の観点から業者に依頼してください。
輻射熱対策を依頼するのであれば、施工実績が豊富な業者がおすすめです。
経験が豊富な業者には技術力があるため、輻射熱に対する高い効果が期待できます。
ただし、一般住宅ではなく工場での施工実績がある業者を選ぶことが大切です。
面積の広い屋根でも施工が可能で、工場の稼働にも配慮できる業者を選びましょう。
さらに請け負える遮熱工事の種類が多い業者であれば、予算や状況に応じた輻射熱への対処法を提案してくれます。
依頼する前に、業者のサイトなどで施工実績や請け負っている遮熱工事の種類を確認してみてください。
遮熱やさん（運営：植田板金店）は年間施工実績3,000棟以上、工場への暑さ対策に関する施工実績もあります。
遮熱やさん（運営：植田板金店）ではさまざまな輻射熱対策の施工を請け負っており、その一部を紹介します。
・岡山市中区での遮熱工事の事例
・岡山県勝田郡勝央町での遮熱工事の事例
・岡山県真庭市での遮熱工事の事例
紹介した事例が、輻射熱対策の参考になれば幸いです。
既存屋根が熱を通しやすいスレート屋根だったため、雨漏りの修理と共に遮熱工事を提案しました。
超薄型高遮熱材シャネリアを敷き、ガルバリウム鋼板の屋根を被せています。
カバー工法で施工したため、経年劣化を感じる屋根の外観が美しく一新されました。
工場の暑さとアスベスト対策のために遮熱工事をした事例です。
屋根と外壁ともにスレート造りで夏場は40℃程度まで室内温度が上昇する状況でした。
輻射熱を大幅にカットする遮熱素材シャネリアを敷いて、カバー工事を実施しました。
カバー工事を行うことで、見た目の美しさだけではなく屋根の強度補強にもなっています。
夏の暑さ対策として遮熱工事の依頼がありました。
工場の屋根は波型の折版屋根となっており、明り取りの部分があります。
明り取りの部分を活かすために行った施工は、遮熱塗装と屋根に日陰を作るルーフシェードの設置です。
ルーフシェードはデザイン性が高く、施工後は美しい外観となりました。
お客様からも満足の声をいただいています。
