猛暑対策は従業員の健康を守る！熱中症を防いで働きやすい環境を実現しよう
年々猛暑日といわれる日が増え、暑さ対策の重要性が高まりつつあります。
夏だけでなく、5月ごろから熱中症の危険が高まるといわれており、必要があれば早めに猛暑対策にとりかかりましょう。
本記事では、気温が上がる原因や熱中症の危険性、効果的な猛暑対策について解説します。
工場や事務所における猛暑対策の参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。
猛暑日が増える原因は大きく2つあります。
・気候変動
・ヒートアイランド現象
原因を理解することで、今後も猛暑対策が必要になる理由もわかるでしょう。
猛暑日とは気温が35℃以上になる日を指し、世界的に増加傾向にあります。
原因の一つとして考えられるのは、二酸化炭素の増加による気候変動です。
気候変動に関する政府間パネル（IPCC)の第5次評価報告書によると、世界平均地上気温は、1880～2012年の間に0.85℃上昇していることがわかっています。
二酸化炭素の増加により、温室効果ガスの濃度も上がっています。
そのため太陽光エネルギーによって温められた大気の熱が下がらず、地上の温度が上昇し、地球温暖化が進んでしまうのです。
今後も猛暑日は増加する見込みで、すでに災害の域だともいわれています。
ヒートアイランド現象とは都会が特に暑くなる現象のことで、発生にはいくつかの理由があります。
都会にはたくさんのビルやアスファルトの道があり、これらは太陽の光をたくさん吸収して熱をためこむ性質があります。
そのため、昼間の熱が夜になっても冷めずに残ってしまうのです。
都会は公園や木が少なく、自然が少ない環境です。
自然は涼しくする力を持っていますが、それが少ない都会では熱を逃がすことができず、ますます暑くなってしまいます。
またアスファルトで舗装された道路が増えることで、都会以外でもヒートアイランド現象は発生する可能性があるといえます。
猛暑による熱中症の危険性と工場で実施できる対策・予防法
猛暑日が増えると熱中症の危険性も高まります。
予防のためには正しい知識が必要です。
・熱中症の危険度を表す指標
・熱中症の症状
熱中症は命に関わる危険性もあるため、社内でも周知していきましょう。
熱中症の危険性が高いことを知らせるために、環境省と気象庁から「熱中症警戒アラート」が、都道府県単位で「熱中症特別警戒アラート」が発表されています。
これは暑さ指数（WBGT)を目安にしており、気温、湿度、日射・放射、風の要素から算出される数値です。
暑さ指数28～31未満は「厳重警戒」で、外出時は炎天下を避けたり、室内では室温の上昇に注意したり、といった対策をとる必要があります。
31以上は「危険」で、外出はなるべく避けて涼しい室内にいることが推奨されます。
暑さ指数が28以上になれば、生活しているだけで熱中症になる危険性があるため、注意が必要です。
熱中症の主な症状は、以下のようなものです。
・めまいや立ちくらみ
・顔のほてり
・筋肉痛や筋肉のけいれん
・体がだるい、力が入らない
・吐き気や嘔吐
・頭痛
・汗が止まらない、もしくは、全く汗をかかない
・まっすぐ歩けない
熱中症だと思われる症状が出たらすぐに涼しい場所へ移動し、体を冷やしてください。
塩分や水分の補給も重要です。
その後は医療機関へ相談するか、動けない場合は救急車を呼びましょう。
熱中症に注意が必要なのは夏だけではありません。
急に気温が上がる5月や梅雨の時期も、体が暑さに慣れていないため、熱中症にかかる危険性が高くなります。
熱中症の予防には以下の方法が有効です。
・水分をこまめにとる
・適度に塩分をとる
・しっかりと睡眠をとる
・バランスのよい食事をとる
・室内を涼しく保つ
・冷却グッズを活用する
・休憩をこまめにとる
詳細を解説するので、予防対策を考える際の参考にしてください。
水分は一度にたくさん摂取するのではなく、こまめにとることを推奨します。
のどが乾いたと感じなくても、発汗などにより体から水分が奪われています。
工場で作業中でも、水分補給を行う時間を設けるなど配慮しましょう。
大量に汗をかく時期は、食事などを通して適度な塩分摂取をしましょう。
ただし水分や塩分の制限をされている方は、かかりつけ医と相談して指示に従ってください。
工場として対応する場合は、塩飴を配布するなど塩分補給を促す取り組みの実施を検討してみてはいかがでしょうか。
熱中症予防には睡眠も大切です。
エアコンや扇風機を使って、快適な睡眠環境を整えましょう。
寝ている間に熱中症にかかる危険性もあるため、室温が上がりすぎないよう注意してください。
工場としては、社内報で睡眠の重要性や快眠のコツなどのノウハウを発信していく、といった施策が考えられます。
バランスのよい食事をとることで、熱中症にかかりにくい丈夫な体を作れます。
暑いと食欲が落ちますが、さっぱりとした味付けにするなど工夫して、しっかりと食事をとりましょう。
工場としては、バランスのよい社食や宅配弁当などを提供することが施策として挙げられます。
節電のために、エアコンを使わずに我慢する方がいます。
しかし熱中症にかかれば治療に費用がかかりますし、最悪の場合は命にも関わります。
個人宅ではエアコンや扇風機を使って、室内を涼しく保つよう呼びかけましょう。
工場としては、室内が暑くならないよう空調を活用したり、輻射熱が室内に入ってこないよう遮熱工事を行ったりすることをおすすめします。
冷却シートや小型の扇風機など、冷却グッズを上手に活用しましょう。
日常生活で使えるものや寝苦しさを解消するものまで、さまざまなグッズが販売されています。
工場としては空調服や扇風機など、体温を下げるグッズの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
長時間暑い環境で活動する際は、こまめな休憩をとりましょう。
涼しい場所で体を休め、水分や塩分の補給をしてください。
工場としては、休憩や水分・塩分補給を行うよう声かけを行うことが大切です。
猛暑は倉庫や工場の作業環境を悪化させ、様々なデメリットをもたらします。
対策ができていないと企業にとって大きな損失につながる可能性があります。
主なデメリットには以下のようなものがあります。
・生産性の低下
・事故発生のリスクの増加
・離職率が高まる
・製品の状態や品質の変化
・製品の寸法の変化
・測定機器の異常
それぞれ詳しく見ていきましょう。
暑い中での作業は従業員の集中力を喪失させて、ミスや作業効率の低下を引き起こします。
さらにこまめな休憩が必要となり、作業時間が増えてしまいます。
残業につながり、多額の人件費がかかる可能性もあるはずです。
生産性の低下は、納期遅延につながりお客様からのクレームを引き起こすかもしれません。
クレームは企業の信用低下につながる恐れがあります。
日本の猛暑は高温多湿です。
このような環境下では、熱中症や脱水症状などの症状が現れやすくなります。
また汗をかいて床が滑りやすくなったり集中力の低下により機械に接触したりするなど、思わぬ事故に繋がる可能性も高まります。
従業員の体調不良や事故を引き起こさないためにも、暑さ対策は不可欠です。
猛暑対策ができていない職場環境は決してよいとは言えず、従業員のモチベーション低下に繋がります。
またモチベーションの低下は作業効率を落とすことにもつながりますが、本当に困るのは離職率の増加です。
人手不足の昨今では離職率が高まってしまうと、人材が集められなくなってしまいます。
働く人は、熱中症のリスクが低く快適な職場環境を求めるものです。
そのため、暑さ対策が不十分な企業は優秀な人材の確保が困難になる可能性があります。
猛暑対策ができていないと、製品の品質に悪影響を与える可能性があります。
工場で製造している製品にもよりますが、食品であれば腐敗が早まり薬品であれば揮発したり変質したりするかもしれません。
またプラスチック製品は変形したり金属製品は錆びたりするなど、製品の特性によって様々な影響が出ることが考えられます。
製品の質の悪化はクレームにつながる恐れもあるものです。
猛暑対策をすることで職場環境だけでなく取り扱っている製品の質に好影響を及ぼすかもしれません。
猛暑で工場内が高温になると金属などの材料は熱膨張し、製品の寸法が変化する可能性があります。
寸法の誤差は製品の組み立て不良に繋がり、生産性の低下を招きます。
また寸法不良でお客様からのクレームに繋がる恐れがあります。
測定機器は温度変化の影響を受けやすく、高温環境下では測定値に誤差が生じる可能性があります。
測定値に誤差が生じてしまうと、製品の質が担保できない状態で出荷してしまうかもしれません。
また不良品の発生率が増加して、生産性の低下の原因となります。
猛暑への対策は作業員に影響を与えるだけでなく、機械の精度や製品の質にも影響を与えてしまうのです。
工場は建物の構造や使用される機械などの様々な要因が重なり合って、非常に高温になりやすい環境です。
工場が暑くなる主な理由について解説していきます。
・熱がこもりやすいから
・熱を持つ機械が多いから
・屋根や外壁が熱を集めやすいから
これらの理由について、一つ一つ詳しく見ていきましょう。
工場は製品の品質管理や安全上の理由から、密閉された状態であることが多いです。
そのため、通気性が悪く発生した熱がこもりやすいです。
熱がこもりやすいということは、室温が上昇しやすくなります。
工場内の熱が逃げにくく、冷房をつけてもなかなか涼しくならないのはこの影響です。
また、断熱材が不足している工場も多いです。
断熱材が不足していると、外気温の影響を受けやすくなり、熱が外部から入り込んできます。
外気温の影響を受けて室温が上昇しやすくなります。
工場内ではモーターやエンジンや照明器具など、多くの熱を持つ機械が稼働しています。
これらの機械は大きな動力を使用するため、発生する熱量が多く室温を上昇させる要因になります。
特に夏場は気温の暑さに加えて、機械から発する熱で室温の上昇が著しいです。
とはいえ機械を稼働させないわけにはいかないので、工場内の気温上昇は避けられません。
工場の屋根や外壁には、鋼板などの金属材料が使用されていることが多いです。
金属系の材料は熱を吸収しやすいという性質を持っています。
特に黒い金属材料は太陽光を吸収しやすいです。
特に夏の暑い時期は日差しが強いです。
屋根や外壁が太陽からの熱を吸収して、工場内の温度を上昇させます。
ある調査によると、人間の作業の生産性は気温20～25℃の環境下で最も高まるという結果が出ています。
夏場の工場内は、30℃を超える高温になることも多く生産性が低下する可能性が高いです。
さらに暑さから従業員の熱中症のリスクが高まる可能性もあります。
工場内を快適な温度に保つことは、作業員の健康を守り生産性を向上させるために非常に重要です。
猛暑対策は、これからの工場において避けては通れない課題と言えるでしょう。
工場などの現場で有効な猛暑対策には、次のようなものがあります。
・空調設備を導入する
・涼しい作業服を導入する
・遮熱シートや遮熱材を活用する
・シーリングファンを導入する
・スポットクーラーや大型扇風機を導入する
・水分や塩分を自由に補給できるようにする
・休憩室を設置する
たとえ工場の中であっても熱中症になるため、早めの対策が重要です。
工場内の気温を下げるためには、新たな空調設備を導入するのがおすすめです。
すでに設備が設置されていても、室内が涼しくならない場合、老朽化の可能性があります。
古い設備は電気代がかかる割に室温が下がりにくいため、新しいものに交換するだけで冷房効率が上がる場合もあります。
また工場の広さに対して設備のスペックが不十分な場合もあるため、見直してみましょう。
暑さ対策ができる、空調服や水冷服といった作業服を取り入れるのも方法の一つです。
ヘルメットなども、暑さ対策ができるよう新製品が登場しています。
ネッククーラーや冷感スプレーといったグッズの活用も効果的です。
暑さの感じ方は人によって異なるため、個人の感覚に合わせた調節が可能です。
建物の屋根や壁に、遮熱シートや遮熱材を施工するのも効果的です。
太陽の熱を遮るため、室内の温度上昇を抑える効果があります。
工場によっては、機械からの発熱で室温が上昇している場合もあります。
機械に遮熱シートを施工すると熱を感じにくくなり、室温の上昇を妨げる効果もあるのでおすすめです。
なお遮熱シートや遮熱材は、一度施工すれば電気代はかかりません。
室温の上昇を抑えれば空調効率が高まり、光熱費の削減も期待できます。
シーリングファンは天井に取り付けて使用し、工場内部の空気を循環させる効果を持っています。
工場内全体に風を送ることで、体感温度を下げる効果があります。
また天井付近に滞留しやすい熱を拡散し、室温のムラを解消するのに効果的です。
エアコンと併用することで冷房効率が上がり、電気代の節約にもつながります。
局所的に冷却したい箇所には、スポットクーラーや大型扇風機がおすすめです。
エアコンに比べて初期費用が安く、導入しやすいのが特徴です。
スポットクーラーは狭い範囲をピンポイントで冷たい空気で冷却できるため、作業スペースに最適です。
大型扇風機は広い範囲に風を送れて風量も調整できるため、様々なシーンで活用できます。
ただし大型扇風機を使用する際は、紙類やほこりが飛散しやすいので注意が必要です。
熱中症や脱水症状の対策にはこまめな水分や塩分の補給を行うことが大切です。
ウォーターサーバーを設置すれば、従業員はいつでも冷たい水を飲めます。
定期的に水分を補給しておけば、暑さによって引き起こされる症状が発生するリスク緩和が期待できます。
また塩分補給用の飴やタブレットを配布して、発汗への対策も行いましょう。
暑さから逃れるための休憩室を設けることも有効です。
空調を設置して涼しい環境を用意することで、従業員は休憩時間を快適に過ごせます。
休憩の時間を活用して作業効率の低下を防ぎ、生産性が向上します。
休憩室にはソファやテーブルなどを設置して、リラックスできる空間にすることがおすすめです。
倉庫や工場などが暑くなるのは、以下の理由のためです。
・屋根が太陽光の熱を吸収しやすい
・構造的に熱がこもりやすい
倉庫や工場の屋根は、鉄製の「折板屋根」が多いといわれています。
鉄の屋根材は熱を吸収しやすいため、太陽光による「輻射熱」の影響を受ける可能性が高く、体感温度を上げる原因の一つです。
また建物の構造上、熱がこもりやすい場合もあります。
物が多いと空気の流れが悪く、空調設備があってもなかなか室温が下がりません。
屋根にアルミニウムやポリエチレンで生成した遮熱材を施工して輻射熱を抑えることが猛暑対策として有効です。
遮熱材を施工すれば、夏の暑さ対策に効果的です。
太陽光線に含まれる熱エネルギーである輻射熱を反射し、室温の上昇を抑えられます。
これにより冷房の使用頻度を減らし、電気代の節約に繋がります。
また、環境にも優しい点が魅力です。
冬場には室内の暖気が逃げるのを防ぎ、保温効果を高めることもできます。
遮熱材の施工には、注意すべき点もいくつかあります。
一つの大きなデメリットは、施工方法が適切でないと十分な遮熱効果が得られない点です。
遮熱材の種類や建物の構造や施工場所などによって最適な施工方法が異なるため、専門業者に依頼することが重要です。
また遮熱材は輻射熱を遮断する効果は高いですが、空気の流れによる熱の移動である対流熱や物体に直接触れることで熱が伝わる伝導熱には効果が低くなります。
近年、日本の夏はますます暑くなり、熱中症などの健康被害も増加しています。
そんな暑い中で快適な生活を送るためには、工場の遮熱性能を高めることが重要です。
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地球規模で気温が上昇し続けているため、これまでと同じ対策では暑さをしのげなくなってきています。
遮熱シートは太陽光からの熱を遮り、室温の上昇を抑える効果があります。
導入費用やランニングコストを抑えたい場合にもおすすめです。
専門知識がなく、商品や工事に対して疑問がある方は、直接業者に問い合わせてみるとよいでしょう。
環境に合わせた適切なアドバイスがもらえるため、ぜひご検討ください。
