工場の熱中症対策が法律で義務化!背景や必要な対応、罰則などを解説

この改正により、工場などでの熱中症対策が法律で義務化されています。
工場などで熱中症対策が法律で義務化されたといっても、具体的に何をすればよいのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、労働安全衛生規則改正について紹介します。
労働安全衛生規則改正の概要や熱中症対策が法律で義務化された背景などを解説するので、ぜひご覧ください。
工場の熱中症対策を法律で義務付ける「労働安全衛生規則改正」とは

この法改正では職場の熱中症対策強化のため、工場などを稼働させている会社に対して熱中症対策が義務付けられています。
熱中症のおそれがある労働者の早期発見や、状況に応じた適切な対処で熱中症の重篤化防止につなげることが目的です。
会社は熱中症の重篤化防止のための体制整備、手順作成、関係者への周知を実施する必要があります。
工場の熱中症対策が法律で義務付けられた背景

厚生労働省の「職場における熱中症対策の強化について」によると、職場の熱中症による死亡災害が2年連続で30人レベルでした。
熱中症死亡災害(令和2〜5年)の分析結果によると、103件中100件に初期症状の放置・対応の遅れが見られました。
100件の内容は以下のとおりです。(一部重複)
・発見の遅れ(重篤化した状態での発見):78件
・異常時の対応の不備(医療機関に搬送しないなど):41件
これらを踏まえ、現場で死亡に至らせない・重篤化させないための対策が求められています。
▼関連サイト
厚生労働省|職場における熱中症対策の強化について
法律によって工場で熱中症対策が必要となる作業

・WBGT基準値(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下
・連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる
WBGT基準値とは湿度、日射・輻射、気温の3つを総合的に考慮した数値で、蒸し暑さをあらわした指標です。
日本産業規格「JIS Z 8504」を参考に現場で測定し、作業場ごとのWBGT基準値を設定します。
測定が難しい場合は厚生労働省の熱中症予防情報サイトなどに掲載されている、WBGT基準値を参考にしましょう。
WBGT基準値や気温が高い状態で長時間作業する場合、熱中症が生じるおそれがあるため、対策が必要です。
工場に法律で義務付けられた熱中症対策の内容

・早期発見のための報告体制の整備
・応急手当の手順の策定
・関係者への周知
それぞれ詳しく解説するので、ぜひご覧ください。
早期発見のための報告体制の整備
熱中症の自覚症状がある従業員や熱中症のおそれがある従業員を見つけた者が、その旨を報告するための体制作りが必要です。
「誰にどのように連絡するか」といった報告体制を明確にしましょう。
事業場における緊急連絡網も必要です。
熱中症の初期症状も周知しておくと、自身や周囲の従業員の様子がおかしい場合に管理者へ報告しやすくなります。
また、報告を受けるだけでなく、熱中症の症状がある作業者を積極的に把握することも大切です。
把握する方法として、具体的には職場巡視やバディ制の採用、ウェアラブルデバイスなどの活用、双方向での定期連絡が挙げられます。
ウェアラブルデバイスとは、スマートウォッチやスマートバンドといった手首などの身体の一部に装着する端末です。
ウェアラブルデバイスに内蔵されたセンサーにより、心拍数などのデータをリアルタイムに収集し、従業員の状態を把握できます。
熱中症重篤化のリスクを下げるためには、熱中症のおそれがある従業員を早期に発見できる体制づくりが重要です。
早期発見のための報告体制の整備を行い、熱中症の重篤化を防止しましょう。
「誰にどのように連絡するか」といった報告体制を明確にしましょう。
事業場における緊急連絡網も必要です。
熱中症の初期症状も周知しておくと、自身や周囲の従業員の様子がおかしい場合に管理者へ報告しやすくなります。
また、報告を受けるだけでなく、熱中症の症状がある作業者を積極的に把握することも大切です。
把握する方法として、具体的には職場巡視やバディ制の採用、ウェアラブルデバイスなどの活用、双方向での定期連絡が挙げられます。
ウェアラブルデバイスとは、スマートウォッチやスマートバンドといった手首などの身体の一部に装着する端末です。
ウェアラブルデバイスに内蔵されたセンサーにより、心拍数などのデータをリアルタイムに収集し、従業員の状態を把握できます。
熱中症重篤化のリスクを下げるためには、熱中症のおそれがある従業員を早期に発見できる体制づくりが重要です。
早期発見のための報告体制の整備を行い、熱中症の重篤化を防止しましょう。
応急手当の手順の策定
熱中症のおそれがある従業員がいた場合に速やかな応急手当を実施できるよう、手順を策定しましょう。
大まかには作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送を速やかに行うことで熱中症による重篤化防止を目指します。
緊急搬送先の連絡先および所在地も把握し、従業員に共有しておきましょう。
具体的な応急手当の手順は現場の実情に合わせて策定します。
作業内容や着衣の状況などにより、熱中症のリスクが異なるため、状況に応じた柔軟な対応が必要です。
大まかには作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送を速やかに行うことで熱中症による重篤化防止を目指します。
緊急搬送先の連絡先および所在地も把握し、従業員に共有しておきましょう。
具体的な応急手当の手順は現場の実情に合わせて策定します。
作業内容や着衣の状況などにより、熱中症のリスクが異なるため、状況に応じた柔軟な対応が必要です。
関係者への周知
報告体制の整備と応急手当の手順の策定が完了したら、関係者へ周知しましょう。
熱中症の疑いがある従業員が出た際、手順通りに応急手当を実施できるようにしておかなければなりません。
具体的には朝礼やミーティング、休憩室への掲示、メールなどを活用して周知を図ります。
関係者には労働者だけでなく、同一の作業場で熱中症のおそれのある作業に従事する者まで幅広く含まれる点にご注意ください。
熱中症の疑いがある従業員が出た際、手順通りに応急手当を実施できるようにしておかなければなりません。
具体的には朝礼やミーティング、休憩室への掲示、メールなどを活用して周知を図ります。
関係者には労働者だけでなく、同一の作業場で熱中症のおそれのある作業に従事する者まで幅広く含まれる点にご注意ください。
法律による工場で熱中症対策を怠った場合の罰則

熱中症対策を怠った場合の罰則は以下のとおりです。(労働安全衛生法第98条)
・作業の全部または一部の停止
・建設物等の全部または一部の使用の停止または変更
・その他労働災害を防止するために必要な事項
実施義務違反の場合は6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が課せられる場合があります。(労働安全衛生法第119条1項)
さらに法人に対しても50万円以下の罰金が課せられます。(労働安全衛生法第122条)
罰則だけでなく、社会的な信用を失ったり、万が一の際に損害賠償を請求されたりする可能性も否定できません。
適切な対策を行い、工場での熱中症の発生や重篤化を防ぐことが重要です。
▼関連サイト
e-Gov法令検索|労働安全衛生法
工場で実施すべき熱中症の予防方法

熱中症の予防方法としては、以下が挙げられます。
・作業環境の改善
・作業内容の管理
・健康管理
・社員教育
それぞれ解説するので、ぜひご覧ください。
作業環境の改善
設備や機器の導入など、作業環境の改善により、現場で熱中症が発生するリスクを下げられます。
たとえば、以下の対策が挙げられます。
・屋外に簡易な屋根の設置
・大型扇風機の導入
・遮熱工事
・休憩場所の整備 など
これらによりWBGT基準値を低減でき、熱中症予防にもつながります。
たとえば、以下の対策が挙げられます。
・屋外に簡易な屋根の設置
・大型扇風機の導入
・遮熱工事
・休憩場所の整備 など
これらによりWBGT基準値を低減でき、熱中症予防にもつながります。
作業内容の管理
気温や作業環境に合わせた、作業内容の管理も重要です。
WBGT基準値や気温に応じた作業時間や内容の調整などにより、熱中症のリスクが下げられます。
以下も作業管理として挙げられます。
・暑熱順化(熱に慣れ、作業環境に適応すること)
・水分および塩分摂取を指導
・透湿性と通気性のよい服装の着用を指導
これらに加えて作業中に巡視し、熱中症が発生していないか確認することで、熱中症の予防や早期発見につながります。
WBGT基準値や気温に応じた作業時間や内容の調整などにより、熱中症のリスクが下げられます。
以下も作業管理として挙げられます。
・暑熱順化(熱に慣れ、作業環境に適応すること)
・水分および塩分摂取を指導
・透湿性と通気性のよい服装の着用を指導
これらに加えて作業中に巡視し、熱中症が発生していないか確認することで、熱中症の予防や早期発見につながります。
健康管理
従業員の健康管理も重要です。
健康診断結果に基づく対応はもちろん、日々の健康状態や身体の状態の確認もこまめに行って従業員の健康管理に努めましょう。
従業員の健康状態を把握しておくことで、作業内容の管理が行いやすくなり、熱中症予防につながります。
従業員の状態に応じて、睡眠や飲酒などについての日々の健康管理の指導や、健康相談なども行いましょう。
健康診断結果に基づく対応はもちろん、日々の健康状態や身体の状態の確認もこまめに行って従業員の健康管理に努めましょう。
従業員の健康状態を把握しておくことで、作業内容の管理が行いやすくなり、熱中症予防につながります。
従業員の状態に応じて、睡眠や飲酒などについての日々の健康管理の指導や、健康相談なども行いましょう。
社員教育
高温多湿な環境で作業させる場合、熱中症を予防するためにも適切な作業内容の管理と作業員自身の健康管理が重要です。
そのため、作業管理者と従業員に対して、熱中症対策にかかわる知識や手順を教える社員教育を行う必要があります。
行うとよい教育内容としては、以下が挙げられます。
・熱中症の症状
・熱中症の予防方法
・緊急時の救急処置
・熱中症の事例
作業管理者や従業員がこれらを把握しておくことで、熱中症発生のリスクを下げることができ、万が一の際にもスムーズに対応できます。
そのため、作業管理者と従業員に対して、熱中症対策にかかわる知識や手順を教える社員教育を行う必要があります。
行うとよい教育内容としては、以下が挙げられます。
・熱中症の症状
・熱中症の予防方法
・緊急時の救急処置
・熱中症の事例
作業管理者や従業員がこれらを把握しておくことで、熱中症発生のリスクを下げることができ、万が一の際にもスムーズに対応できます。
工場の熱中症対策を適切に実施して法律の義務化に対応しよう

熱中症対策を適切に実施することで、従業員の安全や工場の安定稼働、企業のリスク回避などにつながります。
熱中症対策を怠ると罰則が課せられる場合があるので、内容を把握し、改正に対応する体制を整える必要があります。
ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、適切な熱中症対策を実施して法律の義務化に対応していきましょう。