輻射熱とは？他の熱との違いや工場で実施したい対処法について解説
「輻射熱ってそもそも何？」
「工場の暑さで困っているが輻射熱を防ぐにはどうすればよいのだろう」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
輻射熱は、夏の工場内の暑さ対策をする際にも非常に重要な熱の種類の1つです。
本記事では輻射熱とほかの熱の伝わり方の違いや輻射熱対策などについて解説します。
まずは輻射熱とは何なのか、以下の2つの観点から解説します。
・輻射熱の伝わり方
・輻射熱の代表例
くわしく見ていきましょう。
輻射熱は、壁や屋根といったモノをすり抜けて、工場内にいる人間まで暑さが伝わるものです。
輻射とは熱を持った物質が赤外線を出す現象のことをいい、直に触れていなくても赤外線により熱が伝わります。
工場の熱移動は輻射熱が大部分を占めるので、工場内の暑さや寒さをコントロールするには輻射熱が重要です。
輻射熱にはさまざまなものから発せられますが、その代表例が太陽の光です。
太陽の光は、太陽から遥か遠くにある地球にいても暖かさを感じられるほど強い輻射熱を発しています。
ほかにも焚火や工場で利用する機械から発せられる熱も、輻射熱の一例です。
とはいえ工場が輻射熱の影響を受けやすい一番の理由は、太陽光から発せられる輻射熱です。
熱の伝わり方は輻射熱のほかにも2種類あります。
伝導熱と対流熱です。
それぞれどのようなものかを解説します。
伝導熱とは、物質を通して伝わる熱のことを指します。
直接触れて暖かい・暑いなどと感じるのが伝導熱です。
生活の中で例を挙げると、ホットカーペットや湯たんぽなどが伝導熱です。
熱伝導では、物質そのものが触れ合うことで熱が伝わります。
液体や気体によって熱が伝わるのを対流熱といいます。
対流熱は空気が動くと移動する、というのが特徴です。
たとえばエアコンは対流熱の代表的な例です。
対流熱は、伝導熱とは違い気体が移動することで熱が伝わります。
輻射熱とその他の熱の特徴を解説してきました。
建物、特に工場では輻射熱の影響を受けやすいです。
なぜ工場が輻射熱の影響を受けやすいかというと、主な理由は以下の通りです。
・屋根が金属でできている
・一般住宅よりも屋根面積が広い
・機械からも輻射熱が発生する
それぞれの理由について解説していきます。
金属でできた屋根は熱が伝わりやすいため、夏は強い日差しの影響を受けてしまいます。
太陽からの輻射熱が工場内にも伝わり温度が高くなるため、輻射熱への対策が必要です。
工場は面積が広く、比例して屋根面積も広いため輻射熱の影響を受けやすいです。
よって、工場では一般住宅よりも輻射熱対策が必要です。
機械を多く利用している工場では、工場内部からも輻射熱が発生します。
特に機械の近くで働く社員は、機械から発生する輻射熱の影響を受けやすいので要注意です。
工場では、室内でも輻射熱が発生することでより室温が高くなることがあります。
屋根からの太陽光と室内で発生する熱の二つにより、工場内は暑い環境になりやすいです。
工場で輻射熱の対処を行うには、以下の方法が有効です。
・遮熱工事を行う
・屋根用スプリンクラーを設置する
・遮熱塗料やシートを使う
それぞれの対処方法を解説していきます。
工場内における温度上昇の主な原因は、太陽からの輻射熱です。
そこで屋根や壁に遮熱工事を行うことで、工場内が高温になるのを避けられます。
また遮熱工事を行うと、工場内の室温を一定に保ちやすくなるため、空調費用の節約にもつながるでしょう。
輻射熱を抑える素材を屋根や外壁に施工すると、かなり輻射熱をカットしてくれます。
たとえば遮熱シートや遮熱塗料などを活用した遮熱工事が行われることが多いです。
遮熱工事を行うことで屋根や外壁が熱線を反射し、工場内への熱侵入率を大きく下げるからです。
工場への輻射熱を本格的に防ぎたい場合は、遮熱工事を行うことをおすすめします。
打ち水を行うことも、輻射熱への対策として有効です。
工場で対策したい場合は、屋根用スプリンクラーを設置するという方法もあります。
屋根に水をまくと、気化熱の効果で屋根の温度を下げられます。
ただし、あくまで水をまくことを機械的に行うという装置なので、本格的な遮熱工事を行う方が輻射熱を防げる可能性は高いです。
また常に屋根に水が残っている状態になりやすいため、屋根材の劣化リスクも懸念されます。
工場で輻射熱対策をするのには下記のようなメリットがあります。
・工場内の室温が外気に影響されにくくなる
・光熱費の削減につながる
くわしく解説していきます。
輻射熱を抑えると、工場内の室温が外気に左右されにくくなり、温度を一定に保ちやすくなります。
たとえば外が暑くても、外気に影響されなければ工場内が暖まりにくくなり、その結果として空調が効きやすくなり従業員が働きやすくなるでしょう。
また空調管理が必要な製品を取り扱う場合、輻射熱対策を行えば室温管理が容易になるというメリットもあります。
輻射熱対策は、工場での仕事によい影響が大きいです。
輻射熱を抑えると室内の空調効率がよくなるので、電気代の節約に繋がります。
工場の光熱費でお困りの場合は、思い切って遮熱工事を行ってみるというのも方法の一つです。
工事費用はかかりますが、その後の節約につながる点もメリットです。
工場での輻射熱対策にはデメリットもあります。
・暑さ対策としては万全ではない
・施工不良があると効果がない
対策を行う前にデメリットについても知っておきましょう。
打ち水やスプリンクラーだけなどでは、完全に輻射熱を抑えることは難しいです。
また断熱シートや断熱塗料は、対流熱や伝導熱はカットできるものの、輻射熱には対応できません。
一方で輻射熱をカットしても、対流熱や伝導熱により工場が暑くなる可能性があります。
より暑さ対策をしっかり行いたいなら、遮熱と並行して断熱の実施もおすすめです。
輻射熱対策を行う場合は、専門業者への依頼をおすすめします。
遮熱塗料が適切に塗布できていなかったりシートが適切に設置できていなかったりすると、本来の効果を得られないからです。
その後、トラブルにならないためにも信頼できる専門の業者に依頼するのがおすすめです。
輻射熱の対策を行う際は、信頼できる専門の業者に依頼しましょう。
本記事では輻射熱について解説しました。
輻射熱は赤外線の作用で遠くに離れていても伝わる熱のことで、太陽が輻射熱の代表例です。
工場などでは暑さの原因の大部分を輻射熱が占めることもあるので、工場で暑さに困っているなら、輻射熱の対策を行うのが有効です。
本記事でご紹介した対策方法をぜひ参考にしてください。
