工場内の冷房効率が悪いと、夏場の室温が上がりやすく、従業員の体調や作業効率に悪影響を及ぼします。

特に屋根や外壁、機械から発生する輻射熱は冷房効果を妨げ、エアコンの負荷を高めて光熱費の増加にもつながるため対策は急務です。

本記事では、工場の冷房効率が上がりにくい原因と改善策を解説しています。

工場の冷房効率を高め、快適な作業環境を整えたい方は、参考にしてください。

工場で冷房効率が上がりにくい要因

工場で冷房効率が上がりにくい要因は主に以下の3つです。

・高く空間が広い構造の工場が多いため
・屋根や外壁から伝わる輻射熱の影響を受けやすいため
・機械から発生する輻射熱の影響を受けやすいため

順に確認していきましょう。

高く空間が広い構造の工場が多いため

工場は一般的に天井が高く、空間も広いため、冷房で冷やした空気が全体に行き渡りにくい傾向があります。

冷気は重いため、天井の高い建物では足元まで届きにくく、冷房効率が下がりがちです。

また、シャッターや出入口が頻繁に開閉されると、そのたびに冷気が漏れ、外の熱気が流れ込んできます。

​​特に夏場は外気温が高いため、冷やした空気がすぐに入れ替わってしまい、室温が下がりにくくなります。

このように、工場の構造自体が冷房効率を下げる一因となっており、根本的な対策を講じなければ、空調の効果を十分に発揮させるのは難しいです。

屋根や外壁から伝わる輻射熱の影響を受けやすいため

日中の工場は、屋根や外壁が直射日光を受けることで表面温度が高くなります。

このとき発生するのが輻射熱（ふくしゃねつ）と呼ばれる熱で、屋根や外壁を通して工場内に侵入します。

輻射熱は空気の流れに影響されにくいため、冷房だけでは十分な対策はできません。

そのため、冷房をいくら稼働させても輻射熱によって室温が押し上げられ、工場内が冷えないという悪循環に陥ります。

機械から発生する輻射熱の影響を受けやすいため

稼働中の機械から発生する輻射熱も室温上昇の要因です。

特に乾燥炉や溶鉱炉などの高温機器は、稼働時に大量の輻射熱を放出し、周囲の空間に広がります。

輻射熱は空気の流れを介さずに伝わる性質があるため、冷房を稼働させていてもなかなか温度が下がりません。

また、生産ラインの維持のためには機械の稼働を止めることができず、常に輻射熱が供給される状態が続きます。

その結果、冷房だけでは工場内の温度を快適に保つことが難しくなり、作業効率の低下や従業員の体調管理にも影響を及ぼす恐れがあります。

冷房効率を高めるためには、建物全体の熱環境に加え、発熱源への対策も講じなければなりません。

工場の冷房効率を改善させる主な方法

夏場の冷房効率を改善させる主な方法は以下の5つです。

・屋根や外壁に遮熱材を設置する
・遮熱カーテンを設置する
・遮熱塗料を塗る
・断熱材を活用する
・スポットクーラーや大型扇風機を導入する

一つずつ確認していきましょう。

屋根や外壁に遮熱材を設置する

夏場の工場は、屋根や外壁が太陽光を受けて高温になり、冷房が効きにくくなります。

この問題を根本から改善するには、屋根や外壁に遮熱剤を設置する遮熱工事が有効です。

遮熱材は太陽光を反射する性質があり、工場内への熱の侵入を抑えることができます。

室温の上昇を防ぐことで、冷房の稼働時間が短くなり、効率的な環境が実現できます。

遮熱やさん（運営：植田板金店）では、自社開発の遮熱材「シャネリア」を活用した屋根の遮熱や、「スカイ工法」といった遮熱シートを使った施工が可能です。

実際にシャネリアを導入した工場では、室温が最大で15℃近く下がったという実績もあります。

冷房効率を高めることで、電気代の削減や作業環境の改善にもつながるため、暑さ対策として遮熱工事の導入は非常に有効です。

シャネリアの詳細はこちら
スカイ工法の詳細はこちら

遮熱カーテンを設置する

遮熱カーテンで作業エリアと他の空間を仕切ることで、冷気が広範囲に分散せず、必要な場所に冷房効果が集中します。

また、カーテンが外部からの熱の侵入をある程度遮るため、仕切られた空間の室温を安定させやすい点もメリットです。

カーテンは開閉可能なので、人や物の出入りが多い現場でも柔軟に対応できます。

ただし、遮熱カーテンだけでは工場全体の温度上昇を防ぐことは難しく、遮熱工事や空調設備の見直しといった他の対策と併用が前提です。

遮熱塗料を塗る

遮熱塗料は、屋根の表面に塗ることで太陽光を反射し、表面温度の上昇を抑える効果があります。

比較的手軽に施工でき、対応可能な業者も多いため、コストや工期の面で導入しやすいです。

ただし、塗布にムラがあると十分な遮熱効果が得られないため、経験豊富な施工業者の選定が重要です。

また、遮熱塗料は時間の経過とともに劣化するため、数年ごとの再塗装が必要となります。

そのため、一時的な対策ではなく、定期的なメンテナンスを含めた長期的な視点での検討が求められます。

断熱材を活用する

工場の冷房効率を上げるなら、断熱材の活用もおすすめです。

断熱材を活用すれば、遮熱材では防げない「対流熱」や「伝導熱」の影響を軽減できるため、工場内の冷たい空気が外に逃げてしまいにくいです。

遮熱材と断熱材の併用もできるため、冷房効率の向上が期待できます。

スポットクーラーや大型扇風機を導入する

スポットクーラーは、室内機と室外機が一体化した装置で、特定のエリアを局所的に冷やせます。

冷房が届きにくい作業場や熱源が近い場所に設置すれば、作業者の負担を軽減しながら冷房効率の改善が期待できます。

また、大規模な工事を必要とせず、設置が比較的手軽なのも魅力です。

さらに、大型扇風機を併用することで空気の流れが生まれ、冷えた空気が工場内に循環しやすくなります。

工場の冷房効率を改善することで得られる効果

冷房効率が改善されると、工場内の暑さが軽減され、従業員の作業環境が快適になります。

特に夏場は、熱中症のリスクが高まるため、室温を安定させることは従業員の健康管理や安全対策としても重要です。

また空調効率が上がれば冷房の稼働時間が短くなり、消費電力も抑えられ、光熱費の削減につながります。

さらに、工場内の気温が安定すれば従業員の集中力が維持されやすくなり、作業効率も向上します。

冷房効率の改善は、労働環境の快適性とコスト面の負担軽減、作業効率の向上の3つに効果的で有効な対策です。

遮熱工事が工場の冷房効率の改善に効果的な理由

遮熱工事は屋根や外壁から伝わる輻射熱の軽減が可能で、工場内の室温上昇を抑制して冷房効果を改善できます。

特に面積の広い工場では輻射熱の影響を受ける面積も広く、遮熱による改善効果も大きいです。

遮熱施工によって輻射熱の侵入を抑えれば、冷房設備への負担が軽くなり、エアコンの稼働時間や設置台数を抑えやすくなります。

また、既存の空調設備と併用することで、少ないエネルギーで快適な作業環境を維持しやすくなる点もメリットです。

工場に遮熱工事を行った事例

工場に遮熱工事を行った事例を2つ紹介します。

工場の冷房効率を高めたいと考えている方は、参考にしてください。

倉敷市水島地区の工場で遮熱工事を行った事例

築30年以上が経過した倉敷市水島地区の工場では、屋根面積が6,000平方メートルを超えており、夏場は建物内の温度が大きく上昇していました。

前年の夏には、室温の上昇が原因で作業機械の一部が正常に稼働しなくなるトラブルも発生していたそうです。

そこで、遮熱材のシャネリアを敷いてカバー工法を行いました。

香川県さぬき市の工場の壁と窓に遮熱工事をした事例

香川県さぬき市の工場では、作業環境の改善と今後の設備導入を見据えて遮熱工事を行いました。

屋根についてはすでにカバー工法で補修が済んでいたため、今回は外壁のみを対象に施工を実施しています。

使用した遮熱材は、遮熱やさん（運営：植田板金店）が取り扱う高性能タイプの「シャネリア」です。

シャネリアは、空調使用時の消費電力を最大45％削減した実績もある遮熱材で、省エネ効果の高い資材として知られています。

また、窓部分には大型の遮熱ロールスクリーンを取り付けることで、直射日光の侵入を防ぐ対策も強化しました。

外壁と窓の両面から遮熱を徹底することで、より快適で安定した室内環境を実現しています。

工場の冷房効率を改善して労働環境を整えよう

工場の冷房効率を改善することは、労働環境の向上や熱中症リスクの低減につながります。

特に屋根や外壁からの輻射熱や機械の発熱は室温上昇の要因となるため、遮熱工事や遮熱カーテンの設置などの対策が必要です。

冷房効率を高めれば消費電力が抑えられ、光熱費の削減にもつながります。

工場の快適な環境づくりには、遮熱工事の導入もご検討ください。