フィット工法は、不燃認定の遮熱シートを用いて高温機器などからの熱を遮断し、工場内の温度上昇を抑制する施工方法です。

暑さ対策に課題を抱える工場に効果的で、快適な作業環境を実現します。

本記事では、フィット工法について詳しく紹介します。

フィット工法の主な効果や施工事例、施工方法などをわかりやすく解説するので、ぜひご覧ください。

フィット工法とは

フィット工法とは遮熱シートを使用し、乾燥炉や機械などを囲い込むことで、効果的に熱を遮断する施工方法です。

使用する遮熱シートはガラスクロス繊維に特殊樹脂シートを合わせ、両面にアルミ箔を施したもので、国土交通省の不燃認定品です。

熱に強い厚さ0.2mmのハトメ付きシートで、つなぎ合わせることもできるため、大型の機械をすっぽり包み込めます。

乾燥炉や機械から出る熱を大幅にカットできるため、乾燥炉や機械の周囲でも快適に作業しやすくなります。

手軽に試してみたい場合は遮熱カーテンとしても利用可能です。

アコーディオン式カーテンやロールカーテン、マグネット式防虫カーテンなどにも加工できます。

シートに触れても熱くならず、不燃認定シートなので、安心して利用できます。

フィット工法の主な効果

フィット工法の主な効果としては、以下が挙げられます。

・優れた遮熱性能
・大幅な省エネ効果
・CO2排出量の削減

それぞれ詳しく解説するので、ぜひご覧ください。

優れた遮熱性能

まずは「優れた遮熱性能」がフィット工法の効果として挙げられます。

工場内の機械・設備から発する高温熱は、従業員の作業環境を悪化させ、生産性の低下にもつながります。

そこで、反射率が高い不燃の遮熱シートを施工すると、機械や設備表面からの熱を大幅に抑制可能です。

業者が実施したシミュレーション結果では、放熱量を最大83.8％削減できる可能性が示されています。

静岡大学工学部の中山顕教授の実験では、フィット工法により輻射熱を約1/3に抑えることが可能といったデータが確認できています。

フィット工法で遮熱シートを施工することで、快適な作業環境に保てるうえ、従業員の作業効率アップも期待できます。

大幅な省エネ効果

フィット工法を施すことで、工場内の温度上昇を抑制できます。

工場内の温度上昇を抑えることで冷房設備の稼働負荷が大きく低下するため、大幅な省エネ効果も期待できるでしょう。

業者のシミュレーションでは、冷房用の電気料金が年間約37万円のコスト削減できるという結果がでています。

炉などの高温設備においても、年間80,000kWh以上の電気使用量削減が想定されており、大きな省エネ効果が期待できるでしょう。

CO2排出量の削減

フィット工法の遮熱性能により、省エネ効果も高まるため、それに伴うCO2排出量削減効果も期待できます。

シミュレーションに基づくと、年間約12トンのCO2排出量削減が見込まれます。

フィット工法により、省エネ効果による費用削減だけでなく、環境負荷を低減させることも可能です。

持続可能な社会への貢献にもつながることから、企業としての社会的評価を高められる可能性もあります。

フィット工法の施工事例

フィット工法の施工事例として、以下2つの例を紹介します。

・キューポラへの施工
・セラミック焼却炉への施工

それぞれ施工前後でどのように変化したのか紹介するので、ぜひご覧ください。

キューポラへの施工

キューポラとは鉄を溶かす溶鉱炉です。

溶け出す鉄の温度は1700〜1900度になり、炉の表面温度は200度を超えます。

作業時はキューポラの真横に立って溶け出す鉄を見守るため、作業者に大きな負担がかかります。

そこでフィット工法でキューポラを遮熱シートで囲うことで、施工前と比べて、炉の表面温度が175度低下しました。

施工前は夏に汗が蒸発するほど暑くなっていましたが、施工後には熱を感じにくくなり、快適に作業できるようになっています。

さらにキューポラから溶け出てくる鉄の量が増加し、製造量が13％アップしました。

温度が低下して快適な作業環境を実現しただけでなく、実際の製造量もアップしており、生産性が大きく向上しています。

セラミック焼成炉への施工

セラミック焼成炉は、セラミックを成形・加熱して焼き固める炉のことです。

焼成炉周囲の温度は77.7度、焼成炉周囲にいる作業員の表面温度は41.4度にのぼります。

フィット工法で遮熱シートを施工したところ、焼成炉周囲の温度が28.2度まで低下しました。

人体の表面温度は、施工3分後に31.3度まで下がりました。

炉周囲の温度で13.2度、人体表面温度で10.3度の差が出ており、快適な作業環境づくりに貢献していると言えるでしょう。

フィット工法の施工方法

フィット工法はハトメ付きで縫製加工が可能な遮熱シートを使用します。

シートをつなぎ合わせられるので、幅広いサイズの機械に対応可能です。

たとえば、キューポラに遮熱シートを取り付ける場合は、以下の手順で施工します。

・遮熱シートを取り付けるアングルをキューポラに取り付け
・遮熱シートのハトメを活用して、アングルに取り付け
・キューポラ全体を遮熱シートで覆って完成

また、遮熱カーテンへの加工もできます。

日差しがきつい窓向けにロールカーテン風、空間を分けたい場所に開閉しやすいアコーディオン式など、加工方法はさまざまです。

用途や課題に合わせて最適な形に加工できるので、業者に相談してみるのがおすすめです。

フィット工法に活用できる可能性のある補助金・助成金

フィット工法の施工には、国や自治体が用意している以下の補助金・助成金制度を活用できる可能性があります。

・エイジフレンドリー補助金
・工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業（SHIFT事業）
・サプライチェーン対策補助金
・CO2排出削減設備導入補助金

それぞれ概要を紹介するので、ぜひご覧ください。

エイジフレンドリー補助金

高齢者を含む労働者が安心して働けるよう、労働者の健康促進のための取り組みを補助する厚生労働省の事業です。

補助金対象の取り組みの中に「暑熱な環境による労働災害防止対策（熱中症防止対策）」があります。

熱中症防止対策にフィット工法が含まれる可能性があり、対象となれば、費用負担が大きく軽減されます。

具体的な取り組みや詳しい条件については、厚生労働省のホームページをご確認ください。

なお令和6年度の受付は既に終了しているため、補助金を活用したい場合は、ホームページなどで最新情報をチェックしましょう。

【エイジフレンドリー補助金】

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業（SHIFT事業）

日本の中長期的な温室効果ガス削減目標の達成に貢献することを目的とした環境省の事業です。

省CO2型設備更新支援の条件を満たし、CO2削減計画に基づく設備更新の一環とみなされた場合、受給の可能性があります。

具体的な取り組みや詳しい条件については、環境省のホームページをご確認ください。

【工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業（SHIFT事業）】

サプライチェーン対策補助金

国内の生産拠点などを整備し、サプライチェーンの強靭化・分断リスクの低減を行うことを目的とした経済産業省の事業です。

生産拠点の集中度が高い製品・部素材、または国民の健康な生活において重要な製品・部素材の生産拠点の整備を補助します。

設備・システムの導入など、生産拠点の整備が対象となり、フィット工法も含まれる可能性があります。

具体的な取り組みや詳しい条件については、経済産業省のホームページをご確認ください。

【サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金】

事業再構築補助金

ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業の事業再構築を支援する目的で設立された補助金制度です。

「事業再構築」の定義に該当する事業であることなど、要件を満たせば、工場の設備投資も対象に含まれる可能性があります。

具体的な取り組みや詳しい条件については、事業のホームページをご確認ください。

【事業再構築補助金】

CO2排出削減設備導入補助金

CO2排出削減設備導入補助金は、埼玉県独自の補助金制度です。

CO2排出削減設備の導入にかかる経費の一部を補助してくれます。

対象は、埼玉県内で1年以上事業活動を営んでいる法人・個人事業主です。

フィット工法も対象事業に含まれる可能性があり、認められれば費用負担を軽減できます。

具体的な取り組みや詳しい条件については、埼玉県のホームページをご確認ください。

【事業者支援（融資・制度）- 埼玉県】

フィット工法なら遮熱やさんまでご相談ください

フィット工法は、不燃認定の遮熱シートを用いて高温機器などからの熱を遮断し、工場内の温度上昇を抑制する施工方法です。

快適な作業環境を実現できるうえ、生産性向上や省エネ効果、CO2排出削減なども期待できます。

自社工場に最適な暑さ対策にお悩みなら、フィット工法を検討するならおすすめです。

施工実績が豊富な「遮熱やさん」まで、ぜひお気軽にご相談ください。