遮熱カーテンはどれくらいの効果がある？工場の暑さ対策について解説
「遮熱カーテンの設置を考えているがどの程度の効果があるのだろう」
「高温になる機械の熱で工場内が暑くなるから対策をしたい」
機械による暑さへの対策として遮熱カーテンを導入するのは、おすすめできません。
遮熱カーテンの他にも「フィット工法」という方法で、機械から発生する熱を対策できます。
本記事では遮熱カーテンのメリットとデメリット、フィット工法にどれくらいの効果があるかを解説します。
機械による暑さへの対策として遮熱カーテンの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
工場内の機械から発生する熱対策として遮熱カーテンはおすすめ？どれくらい効果がある？
機械が放出する熱への対策として、機械を遮熱カーテンで囲う方法は、あまりおすすめできません。
遮熱カーテンは機械を囲うのではなく、空間を仕切ることを想定して作られています。
使用されている素材が高温の機械の近くに設置しても問題ないか、事前に確認したうえで判断しなければなりません。
無理に設置すると、機械の故障や遮熱カーテンの劣化といったトラブルに発展する可能性があります。
また遮熱カーテンを開け閉めしたりすき間が発生したりするため、暑さ対策の効果はあまり高くはありません。
工場の機械による暑さ対策なら、遮熱カーテンと同じ遮熱効果が得られるフィット工法が適しています。
工場の機械から発生する暑さへの対策なら遮熱カーテンよりフィット工法がおすすめ
工場の機械による暑さ対策なら、さまざまな状況に対応できるフィット工法がおすすめです。
フィット工法とは、不燃シートで熱を発生させる機械をテントのように覆う方法です。
空間を区切る遮熱カーテンとは異なり、機械を囲うことを目的としています。
不燃シートは不燃材料として国土交通省から認定されているので、高温になる機械に設置しても安心です。
裁縫加工が可能で、つなぎ合わせれば大きな機械にも対応できます。
常に不燃シートで覆う必要がない場合は、開閉できるアコーディオンカーテンのように加工したうえで設置も可能です。
フィット工法を工場の機械に設置した場合、どれくらいの効果があるか紹介します。
具体的な効果は下記のとおりです。
・機械から放出される輻射熱を大幅にカットする
・機械の生産効率アップと省エネの効果がある
それぞれ解説します。
高温になる機械から放出されている暑さの原因は「輻射熱」と呼ばれる熱です。
輻射熱は電磁波で伝わるため、空気の流れで室温をコントロールする空調だけでは抑えきれません。
フィット工法で使用する不燃シートには、電磁波を反射させる遮熱効果があるため、輻射熱に有効です。
実際にフィット工法によって、乾燥炉から放出される輻射熱の3分の2がカットされた検証結果が報告されています。
フィット工法を行う前は200℃を超えていた炉の表面が、施工後は25℃になった例もあります。
高熱になる機械の近くで作業をしても暑く感じにくいのが特徴です。
乾燥炉や溶鉱炉などの熱を利用する機械は、高熱の状態を維持するためにエネルギーが必要です。
フィット工法を行えば輻射熱が機械側に留まるため、機械の熱効率が良くなり余剰なエネルギーの消費が抑えられます。
他にも効果として、期待できるのが生産効率アップです。
実際にフィット工法を行った溶鉱炉では、とけだす鉄の量が13％増えました。
熱が機械から流出するのを防ぐ効果があるので、省エネと生産効率アップにつながります。
工場に遮熱カーテンを設置した時に得られるメリットや効果はどれくらい？
機械から出る熱への対策ならフィット工法が適していますが、遮熱カーテンを設置してもある程度の対応はできます。
遮熱カーテンを設置する場合は、エリアを区切ったり出入り口に設置したりするなど用途を守って使用しましょう。
遮熱カーテンを設置した場合に得られるメリットは下記のとおりです。
・工場内の室温が安定する
・省エネや光熱費削減につながる
・熱中症対策になる
・設備や機械の劣化防止につながる
ひとつずつ解説します。
遮熱カーテンによって得られるメリットは、工場内の室温が安定することです。
遮熱カーテンが機械から放出される熱を遮るので、工場内の暑さが軽減されます。
どこから熱が流入して暑いのかを特定して、熱の流入経路を遮るように設置すると効果的です。
機械から出る熱による影響が軽減されにくくなり、空調での温度管理も容易になります。
遮熱カーテンは省エネ効果が期待できる暑さ対策です。
設置すれば室温が安定するので、空調効率が良くなり省エネにつながります。
空調の設定を強くする頻度が減るため、消費電力カットの効果も期待できます。
さらに、遮熱カーテンの運用には電気料金がかかりません。
設置費用はかかりますが、長期的にみれば省エネと光熱費削減の効果が得られます。
熱中症リスクの軽減も、遮熱カーテンを設置して得られるメリットの一つです。
機械から放出される熱によって工場全体が暑くなれば、熱中症になるリスクが高まります。
とくに高温になる機械の近くで働く従業員は注意が必要です。
作業エリアに流入してくる熱を遮熱カーテンで遮れば、暑さが改善されて、快適な環境で作業を行えます。
熱中症対策はもちろん、労働環境改善にもつながる方法です。
遮熱カーテンを設置して機械から発生する暑さを対策すれば、設備や機械の劣化防止といった効果が期待できます。
工場内の厳しい暑さは、設備や機械の劣化を助長する一因です。
とくに空調は、工場内の温度を下げるために出力を上げる必要があるため負荷がかかります。
修理や交換には費用も時間も要するので、遮熱カーテンをはじめとした暑さ対策を実施して予防しましょう。
遮熱カーテンを設置すればさまざまなメリットが得られますが、デメリットも発生します。
具体的なデメリットは下記のとおりです。
・設置場所によっては暑い環境下での作業が必要になる
・視界が遮られて安全性が低下する
・複雑な構造の場所には設置が難しい
・工場全体の暑さ対策としては不十分である
それぞれ詳しく解説します。
遮熱カーテンには、熱を冷ます効果はありません。
輻射熱を反射させて熱の拡散を防ぐため、遮熱カーテンでエリアを区切った場合は機械側の方に熱がこもります。
機械の近くで作業する工程がある場合、遮熱カーテンの設置場所によっては暑い環境下での作業となります。
工場全体でみると暑さ対策になりますが、作業内容によっては厳しい労働環境となるため、設置場所には注意が必要です。
遮熱カーテンを設置すると、視界が遮られて工場内の見通しが悪化する可能性があります。
ビニール製で作られた遮熱カーテンでも、クリアな状態が長期間続くとは限りません。
遮熱カーテンの向こう側が見えないことによって、人同士または人と運搬器具の衝突が考えられます。
遮熱カーテンの付近で衝突や転倒といった事故のリスクが高くならないように、整理整頓や注意書きの設置など安全管理の徹底が必要です。
遮熱カーテンは扉や壁と比べると手軽に設置できる一方で、複雑な構造の場所への設置には適していません。
複雑な配線があったり遮熱カーテンを吊るせるスペースがなかったりすると、適切に設置しにくいです。
遮熱カーテンで遮れない部分があると遮熱効果も減少します。
遮熱カーテンの設置を検討する段階で、業者に設置可能か確認しましょう。
工場が暑くなる主な理由は、工場の屋根や外壁に太陽の光が当たって、輻射熱が工場内に移動することが挙げられます。
遮熱カーテンだけでは、面積の広い屋根や外壁の熱移動を防ぎきれません。
また遮熱カーテンを開け閉めすると、閉じ込められていた熱が工場内に広がる懸念もあります。
遮熱カーテンを設置するだけでは、工場全体の暑さ対策としては不十分です。
フィット工法をはじめとした、他の遮熱対策も併用しましょう。
遮熱カーテンやフィット工法がどれくらい効果的か把握して工場の機械に暑さ対策をしよう
工場で稼働している機械が発する熱への対策には、遮熱カーテンやフィット工法があります。
どちらも暑さを軽減させて空調効率を良くし、省エネや光熱費削減の効果が得られる方法です。
ただし、遮熱カーテンは機械を囲う用途での使用が想定されていません。
機械から発せられる熱への対策であれば、フィット工法がおすすめです。
フィット工法は、機械から発せられる熱を軽減できるだけでなく、機械自体のエネルギー効率がよくなるメリットも得られます。
機械から発せられる熱には対策を実施して、工場内の作業環境を改善しましょう。
